ガラス型ペロブスカイトの量産技術開発へ、パナソニックHDらのコンソーシアム
AGC、環境エンジと事業化に向けた実証10:21
コンソーシアムで量産技術開発とフィールド実証
パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)、AGC株式会社(以下、AGC)、パナソニック環境エンジニアリング株式会社(以下、環境エンジ)は、コンソーシアムを組成し、ガラス型ペロブスカイト太陽電池注1の量産技術開発とフィールド実証に関するプロジェクトを開始する(図1)。建材一体型太陽電池(BIPV)注2としての活用を想定し、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の事業化に向け、技術開発を進める。2025年11月14日に発表した。
2025年度~2029年度にかけてプロジェクト実施
パナソニックHDとAGC、環境エンジの「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」プロジェクトは、期間は、2025年度~2029年度の予定(最大5年間)。公共・商業施設などを中心に実施する。
量産技術については、安定した品質の大量生産を可能にする量産技術の確立に向け、一連の生産プロセスとして高いスループット・歩留まりを実現する技術を開発する。
フィールド実証については、量産技術開発と並行し、ペロブスカイト太陽電池の特性を活かした施工方法を含む性能検証のため、建築物など実用環境での施工・運用試験を実施する。
パナソニックHDがコンソーシアムの幹事を務め、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の施工・配線・システムを検証する。AGCが構造設計・品質確保を含む施工を支援するのに加え、実証の内容をもとに開発へフィードバックする。環境エンジがファサードと電気のエンジニアリング技術に関する知見をもとに、設計・施工の支援や開発へのフィードバックを担当する。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の2025年度「グリーンイノベーション基金事業/次世代型太陽電池の開発/次世代型太陽電池実証事業」の採択を受け、実証する。同事業では、太陽電池メーカーとユーザー企業などがコンソーシアムによる提案が前提となっている。
パナソニックHDが開発するガラス型ペロブスカイト太陽電池は、独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせ、サイズや透過性、描画の自由度が高いという。建材と一体化することで、様々なガラス仕様に対応し、耐風圧性能など建築材として求められる基準を満たしつつ、太陽電池としての耐久性を確保しているとしている。
パナソニックHDによると、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、2040年度までに太陽光発電を電源構成の23~29%に引き上げる方針が示され、ペロブスカイト太陽電池の導入目標も明記された。日本のように平地面積が限られた地域では、建物の窓や壁面を活用した発電が不可欠である。
注1:ペロブスカイト太陽電池:ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ材料を使った次世代太陽電池。軽量で曲げやすく、少ない光でも発電できる特性を持つ。
注2:建材一体型太陽電池(BIPV:Building Integrated Photovoltaics):太陽電池モジュールを、窓ガラスや壁材、屋根材など建材そのものとして組み込んだもの。