機械学習で再生材の売り手・買い手をマッチング、日立ハイテク

「第16回 高機能素材Week」で「再生材マーケットプレイス」を公開

マテリアルズ・インフォマティクスを活用しマッチング支援

インプレスSmartGridニューズレター編集部

14:39

再生材のマッチングサービスを公開

 株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)は、再生材のマッチングサービスである「再生材マーケットプレイス」を、2025年11月12日〜14日に幕張メッセで開催の「第16回 高機能素材Week」(主催:RX Japan株式会社)で公開した(図1)。再生材を購入したい買い手と、廃材を再生材として循環させたい売り手のマッチングの場を提供する。株式会社日立製作所(以下、日立)と共同開発したもので、2026年度の提供開始を予定している。

図1 日立と日立ハイテクの「再生材マーケットプレイス」の概要

マテリアルズ・インフォマティクスを活用しマッチング支援

 日立ハイテクによると、再生プラスチックは新品の素材(バージン材)と比べ、機械特性や熱物性が低下しやすく、品質もばらつきがある。そのため、メーカーが要求する材料性能に達しにくく、製品への活用が限定的だ。また、再生プラスチックの開発は、エンジニアの経験に頼るケースや、専門のエンジニアが社内にいないケースも多い。

 再生材マーケットプレイスは、再生材の検索機能に加え、質問の回答内容をもとにニーズに合致する再生材を推奨(レコメンド)する機能と、機械学習などによって新材料の探索や開発を高速化するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)技術を活用した機能により、再生材の買い手と売り手のマッチングを支援する。

図2 再生材マーケットプレイスではバイオプラスチックやリサイクルプラスチックといった種々の材料を扱う。写真はそれらを使用した製品の一例

編集部撮影

 MI機能では、日立製作所が開発した機械学習モデルが、再生プラスチックの配合に関する独自の実験データベースを活用し、最適な配合レシピを提案する。同データベースは、再生材の劣化度合いや不純物なども含め、材料特性(物性)に影響する多様な因子を特徴量として定義し、配合条件などと合わせて蓄積している。

 これにより、利用者が要求する特性や保有する再生材の情報をもとに最適な配合レシピを提案したり、現行材料と指定した新規の再生材を配合した場合の物性を予測したりできる。機械特性の予測や、物性に影響の大きい因子の抽出も可能だという。

 同社担当者は、「例えば、再生プラスチックを調達する側は、カタログで見つけた再生材とバージン材を混ぜた場合の物性を机上で検討でき、マッチングの範囲を広げられる」と述べる。さらに、「再生プラスチック事業への参入を検討しながらもノウハウがないという事業者には、最適な配合を提案して再生材の開発を後押ししたい」と続ける。

 同サービスでは単なるマッチングの場を提供するだけでなく、日立グループのグローバルなネットワークと商社機能を活かし、材料の探索や提案も行う。担当者は「AI技術を活用した配合提案から、実際の材料調達までを一連で支援する」と説明する。

 このほかに、金型から取得した樹脂圧力や金型温度などのデータをもとにした受託での品質解析や材料評価にも対応する。


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