カーボンプライシング:最も安価で効率的なCO2削減手法
─編集部:アジア開発銀行や世界銀行もグリーン経済に目を向けているようです。
末吉:世界銀行はカーボンプライシング(炭素価格付け)制度の推進者ですからね。カーボンプライシングはこれから本当に本格的に始まると思います。
アジアでは、2015年1月17日に韓国で始まっています。中国でも試験導入がされているのですが、中国は2017年までに全国的にキャップ&トレード(排出権取引)を入れると公言しています。
しかし、残念ながら日本ではあまり議論が進んでいるとは言えません。いま世界40カ国に、ナショナルレベル、あるいはサブナショナルレベルでキャップ&トレード制度があるですが、幸い日本は東京都が行っているのでその数の中に入っています。
─編集部:カーボンプライシングに最も期待できる点はどこでしょう。
末吉:世界では、炭素に価格を付けることが最も経済的に安価で効率の高いCO2削減策手法であるという認識が広まっています。これは企業サイドも受け入れています。石油メジャーである英国のBP(ビーピー)注12もOKだと言っています。
カーボンタックスも排出権取引のいずれもCO2に値段を付けることで、排出量を抑制させたり、あるいは、抑制する企業や技術に投資が行われやすくなったりしますね。カーボンプライシングが、企業にとっても重要な設備投資判断/資本支出判断にて欠かせない要件になってきたということです。
ぜひ、カーボンプライシングの時代が始まったことも注目しておいてください。これはエネルギーにものすごいインパクトを与えますから。
─編集部:ありがとうございました。
▼ 注12
世界最大級のエネルギーグループ企業。探鉱・開発から小売部門、また石油・天然ガスからバイオ燃料などの新エネルギーまで幅広く手がける。ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、ロシアなどを主な活動拠点としている。
石油メジャーとは、石油の探鉱から生産、輸送、精製、販売までの全段階を垂直統合で行い、シェアの大部分を寡占する石油系巨大企業複合体の総称。