[特集]

パナソニックの住宅向け「新・蓄電池ビジネス戦略」

― 遠隔制御を見据えた創蓄連携システムで ‘卒FIT’ 市場をねらう ―
2017/03/06
(月)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

蓄電池が単体ビジネスからシステムビジネスへと大転換する時代を迎えた。政府が2020年までに標準的な新築住宅で環境にやさしいZEH(ゼッチ)を実現する政策を打ち出したところから、蓄電池の役割に新しい波が押し寄せている。「地産地消」から「自産自消」へのシフトが起こり、FIT(固定価格買取制度)期間を終了するユーザーが出現する「卒FIT市場」が注目を集め、「創蓄連携システム」(発電と蓄電の連携システム)が脚光を集めている。
このような新しいパラダイムシフトの中で、パナソニック株式会社は、オーストラリアで商用ベースのVPP(仮想発電所。ここでは仮想大型蓄電池)も視野に入れた事業を推進している。同社エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部への取材をもとに、同社の新・蓄電池ビジネスの最新の展開をレポートする。

ZEH(ゼッチ)を実現する3つの要素

〔1〕「高断熱」「高性能設備」「創エネ」

 深刻な地球温暖化対策に向けて、温室効果ガスの削減の新たな国際的な枠組みである「パリ協定」注1が採択されて以降、再生可能エネルギー(以下、再エネ)をはじめエネルギー利用への関心が国際的に高まっている。日本でもゼロ・エネルギー・ハウス「ZEH」(ゼッチ注2)への取り組みが活発化し、政府は「2020年までに標準的な新築住宅でZEHを実現し、2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現すること」を目標としてこれらを推進している。

 ZEHとは、図1に示すように、

  1. 住宅の高断熱化と高効率設備によって、
  2. 快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現したうえで、
  3. 太陽光発電などによってエネルギーを創り(創エネ)、

年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量を、ほぼゼロ以下に抑える住宅のことである。

図1 ZEHを実現する3つの要素:「高断熱」「高性能設備」「創エネ」

図1 ZEHを実現する3つの要素:「高断熱」「高性能設備」「創エネ」

出所 http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/zeh/

〔2〕4,000社を超えるZEHビルダーが登場

 このようなZEHを実現するため、経済産業省では、「2020年までにハウスメーカー等の建築する注文戸建住宅の過半数でZEHを実現すること」を目標として、その普及に向けた取り組みが行われている。

 この目標の達成に向けて、平成28(2016)年度のZEH支援事業(補助金制度)では、自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合を2020年までに50%以上とする目標を宣言・公表したハウスメーカー、工務店、建築設計事務所、リフォーム業者、建売住宅販売者などを「ZEHビルダー」として公募、登録し、屋号・目標値などの公表を行っている。

 平成29(2017)年1月現在、全国のハウスメーカー、工務店を中心に4,224社がZEHビルダーへの登録を行っており注3、すでにZEHビルダーは全都道府県にわたっている。

 このような動きの中で、電気を「どのように創り」「どのように蓄電するか」、エネルギー(電気)の「創蓄連携システム」注4が大きな注目を集めている。


▼ 注1
パリ協定:フランス・パリで開催されたCOP21で、2015年12月に採択された協定。「世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑える(1.5℃に抑える必要性にも言及)」に向けて、世界全体で今世紀後半には、温室効果ガス排出量を実質的にゼロにしていく方向を打ち出した協定。http://www.wwf.or.jp/activities/2016/11/1346519.html

▼ 注2
ZEH:Net Zero Energy House、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス

▼ 注3
ZEHビルダーの一覧:https://sii.or.jp/zeh28/builder/search/

▼ 注4
家庭用蓄電池は大きく分けて、①単独型リチウムイオン蓄電池(東芝エネグーンや京セラなど)と②住宅用創蓄連携システム(太陽光発電システムと蓄電池を同時に設置するシステム。パナソニック)の2タイプがある。

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