[特集]

世界のDR活用の現状と展望、VPPへの展開

― 価格入札・再エネ普及時代に主流となってきた負荷抑制型 ―
2017/05/11
(木)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

日本におけるDRとVPPの展開

〔1〕ネガワット取引市場が創設

 ここで、日本のDRの最近の動きについて、簡単に整理してみよう。

 日本では、政府のエネルギー基本計画(2014年4月)において、初めてDRの活用が提言された。その後、2015〜2016年にかけてDRのルールが整備され、これと並行して、実際の電力ユーザーが参加して2年にわたるDRの実証が行われた。さらに、2016年12月には、『ディマンドリスポンス(ネガワット)ハンドブック』が公開された。

 2017年4月1日には、ネガワット取引市場が創設され、2つのタイプのDR取引が可能となった(図5)。

図5 ネガワット活用の姿

図5 ネガワット活用の姿

出所 西村 陽、「国内外のDR活用の現状・展望とVPPへの展開」、平成29年電気学会全国大会、2017年3月16日

  1. 電力の小売・卸取引が使われるkWh市場でのDR(類型1)
  2. 系統運用者が調達するkW市場でのDR(類型2)

〔2〕VPP:需要家側の機器を制御して実現

 前述したように、米国におけるDRの起源は、ピーク時の発電機のゲーミングへの対策として活用され始めたものである。また、日本において2016年度から5カ年計画で実証が開始されたVPPも、米国のカリフォルニア州などで、大量の太陽光発電の導入によって、系統運用への影響(有名なダックカーブ注11)が出てきたことへの対抗策として構想されたものである。

 最近では、ニューヨーク州において、配電レベルでVPPと同種の実証を行うREV(エネルギービジョン改革)注12も打ち出されている。

 VPPでは、再エネ発電による系統への影響を、これまでの水力発電機やガスタービン発電機の調整力ではなく、需要家側の機器を制御することによって行う実証が実施されている。具体的には、蓄電池、電気自動車、エコキュートなどの設備をサーバ上でつなぎ、あたかも1つの発電所(仮想発電所)のように機能させる。

 日本では、2016年度(第1年度)から7件のVPP構築事業が展開されている。例として見てみると、関西電力も参加し推進している関西VPPプロジェクトにおいては、VPPのプラットフォーム形成を行い、将来の事業展開が検討されている注13。なお、日本におけるVPPおよびDRの実証内容については、本誌3ページのMonthly Topics(今月のトピックス)も参照していただきたい。


▼ 注11
ダックカーブ:太陽光発電の大量導入によって、日中の発電量が電力消費量を上回る一方、夕方の太陽光発電が止まる夕刻(帰宅時)には、家庭などの電力需要が急激に上昇するという現象を描いた曲線。これが、アヒルの形に似ているところからダックカーブ(ダック曲線)と呼ばれる。

▼ 注12
REV:Reform Energy Vision、ニューヨーク州のエネルギービジョン改革(2014年4月発表)。REV 2030目標(REV 2030 Goals)は次の通り。

  1. 1990年レベルから温室効果ガス排出量を40%削減する
  2. ニューヨーク州の電力は再エネからの電力を50%とする
  3. 2012年レベルから建物のエネルギー消費量を23%削減する

・参考サイト http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/renewable_energy/wp-content/uploads/2016/12/20161123-1.pdf

▼ 注13
関西電力、「VPPの国内外での現状と関西電力の取組みについて」、平成29(2017)年2月8日

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