[特別レポート]

5G基地局をベースにエッジ/クラウド連携の社会システムを開発へ

― AIエンジンで低消費電力化し省エネ・データセンターを実現 ―
2019/03/08
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

クラウドの全体的な構成例:4階層構成で実現

 図2に、最近のクラウド(データセンター)の全体的な構成例を示す。

図2 クラウド(データセンター)の全体的な構成例

図2 クラウド(データセンター)の全体的な構成例

出所 環境省平成30年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業:【5G基地局を構成要素とする広域分散エッジシステムの抜本的省エネに関する技術開発】

 図2の上部から順にクラウドコンピューティング、フォグコンピューティング、エッジコンピューティング、MECという配置になっている。

〔1〕エッジ、フォグ、クラウドの3層構成

(1)従来型の中央集権的なクラウド

 アマゾン(AWS)、グーグル(Googled Cloud)、Facebookなどは、一極集中型のデータセンターである。しかし、クラウドで処理されるデータが実際に発生する場所は、ユーザーに近い家庭内のセンサーや、農場のセンサーなどである。このため、例えば、身近で発生したデータを、わざわざ日米の海底回線を通してアメリカ大陸にあるグーグルのクラウドなどに送り、そこで処理して日本に返す、という時間のかかる処理方法(大きな遅延が発生する処理法方法)は適切ではない。最近は、できるだけ身近に処理機能(エッジ機能)を置いて処理する「エッジ」や「フォグ」などのコンピューティングシステムが続々と登場し普及し始めている。

 ここでは、当初は図2の黒字で示すように、「クラウドコンピューティング」-「フォグコンピューティング」-「エッジコンピューティング」という3階層の構成で表現していた(フォグはシスコの用語。エッジもフォグもほぼ同義語で、以降はエッジで統一する)。

(2)国際的に商用サービスが開始され始めた5G(第5世代モバイル)の登場

 この5Gの規格仕様を策定している国際標準関連団体である3GPPは、もう1つのコンピューティングシステムとして、MEC(Multi-access Edge Computing)を策定しているため、図2では、さらに赤字のMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)を追加して4階層としている。

 図2に示すように、MECはクラウド、フォグ、エッジの下に位置付けられ、5Gの基地局に付随したものとなっている。MECは、エッジよりももっと小さい規模のシステムであり、例えばサーバの数でいうと数台から数十台規模が5G基地局のそばに置かれる、あるいは5G基地局内に設置される、などのケースが増えると見られている。

〔2〕エッジのホットスポット化対策

 具体的に見ると、図2右上に示すように、今後、エッジシステムがホットスポット化注3してその数と密度が増大し、都内だけで、1万カ所に達するとされている。その消費電力の抑制には、各装置自体の消費電力の抑制だけでなく、「社会システム」としての運用手法が重要となっている。

 大量の情報を処理するエッジコンピューティングシステムでは、その数と消費電力が著しく増大していく。なかでも高電力消費を必要とするAI基盤を配置するケースも多くなってきており、従来のように、単に機器ごとの消費電力の抑制や冷却システムの更改だけでは対応できなくなりつつある。

 そこで現在、グーグルによるグローバルクラウド連携の例やCORDプロジェクト注4に見られるように、広域的に分散するエッジシステムを連携させて「社会システム」として運用することで、エッジシステム全体の低消費電力化やCO2の削減が期待されている。これが今回の実証事業のメインテーマである。


▼ 注3
ホットスポット化:スマートフォンなどのアクセス端末からの大量の情報をルーティングする都市などに設置される通信基盤では、通信機器(コアルータや通信機器)のみが集中的に発熱するが、この現象をホットスポット化という。ホットスポット部を冷却するために、通常は通信ビル全体が冷却されている。しかし、通信機器のみを局所的に冷却できれば通信ビル内全体を冷却する必要はなくなり、低消費電力化が可能となる。このため、通信システムの省エネ技術の開発が重要となっている。

▼ 注4
CORD:Central Office Re-architected as a Data Centerの略。Open Networking Labと Linux Foundationによって2016年7月に設立された、通信系サービスプロバイダ向けの統合プラットフォームを提供するオープンソースプロジェクト。

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