再エネ導入目標:2050年にCO280%削減を目指して
2019年11月から、住宅用太陽光発電の買取期間の終了(卒FIT)が始まった。その第1弾として、2019年11月と12月の計53万件・200万kW(2019年の卒FIT分)の卒FIT市場が誕生し、2023年には累積で165万件・670万kWにも達するとあって、再エネの自立に向けた動きが加速化している。
また前述したように、日本は温室効果ガスの排出量を、2050年度には2013年度比80%の削減を目標としているが、残念ながら2050年に太陽光発電を31%導入しても、まだCO2の80%削減は実現できない。
そこで、その不足分ををどう解決していくか、2022年に予定されている政府の第6次エネルギー基本計画注14における見直しの中で、再エネの位置づけをさらに拡大していくことが期待されている。
図11に、ドイツ、イギリス、スペイン、イタリア、フランスの欧州5カ国における2030年の再エネ比率を示すが、日本の22〜24%をはるかに超えて、最低でもほぼ40%以上の導入を目指している。
図11 再エネ導入目標:欧州勢から大幅に立ち遅れている日本の再エネ導入目標
出所 太陽光発電協会(JPEA)「第36回太陽光シンポジウム」、2019年11月6日~7日
このような国際的な動向を見ても、JPEAの試算結果(前出の図8右側)に示すように、日本においては、
【その他再エネ7%+太陽光31%+風力15%=53%】
の53%を中心に、水力10%を加えて63%の再エネを実現し、CO2排出量の80%削減を超える、エネルギー計画の策定が期待されている。
2050年には、火力発電はなお調整用電源としても必要とされているが、メインはあくまでも再エネとする。
卒FIT時代の幕開けとほぼ同時期に開催された、今回の太陽光発電シンポジウムは、第5次エネルギー基本計画の「再エネの主力電源化」と同期し、再エネの推進役でもある太陽光発電の思い切った新しいロードマップを示した点で、画期的であった。
同時に、日本の脱炭素化に向けたエネルギーのあり方について、1つの道筋を示したものであった。
▼ 注14
2002年6月に制定された「エネルギー政策基本法」に基づいて、エネルギー需給の計画的な推進を図るために「エネルギー基本計画」の策定が定められ、少なくとも3年に一度の頻度で内容の検討を行われる。これまでは、第1次計画(2003年10月)、第2次計画(2007年3月)、第3次計画(2010年6月)、第4次計画(2014年4月)、第5次計画(2018年7月)と策定されてきた。