[特集]

カーボンニュートラル時代! 日本の再エネ導入ポテンシャル

― 改正地球温暖化対策推進法の成立からCOP26まで ―
2021/06/04
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

2021年5月26日、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出量を、2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル、Carbon Neutral)とする目標を明記した「改正地球温暖化対策推進法」(略称:温対法)が参議院本会議で、全会一致で可決・成立した。
日本政府は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)」の宣言に続いて、2020年12月、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表した。さらに、2021年4月22~23日の米国主催の「気候サミット」に参加した菅首相は、「2030年に温室効果ガスの46%削減を目標としつつ、50%削減の高みに向けて挑戦を続ける」ことを宣言した。
カーボンニュートラルは、再エネのポテンシャルを拓く日本の国家戦略として動きだした。ここでは、それらの最新動向をレポートする。

改正地球温暖化対策推進法の成立とCOP26までの動き

〔1〕成立した「改正地球温暖化対策推進法」

 令和3(2021)年5月26日に開催された参議院本会議で、「改正地球温暖化対策推進法」(表1)が、全会一致で可決・成立した。

表1 地球温暖化対策推進法(略称:温対法)

表1 地球温暖化対策推進法(略称:温対法)

出所 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/026_02_00.pdf

 この地球温暖化対策推進法(略称:温対法)は、1998年に成立し、その後、幾度か改正を重ね、国や地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みを定めている。

 今回の改正は、2020年10月に菅首相が宣言した「2050年カーボンニュートラル」を、基本理念として法に位置づけ、その実現に向けて地域の再生可能エネルギー(以下、再エネ)を活用した脱炭素化への取り組みや、企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化を推進する仕組みなどを定めたものとなった。

 具体的には、地球温暖化対策に関する計画の策定をはじめ、社会経済活動やその他の活動による温室効果ガスの排出抑制などによって、地球温暖化対策の推進を図ることを目的としている。

〔2〕パリ協定の採択からCOP26までの主な動き

 日本では、このような法改正が行われたが、カーボンニュートラルに関する内外の動きは活発化している。

 表2に、パリ協定の採択からCOP26まで、主な日本の動きを含めて、簡単に整理した。

表2 パリ協定の採択からCOP26までの主な日本の動き

表2 パリ協定の採択からCOP26までの主な日本の動き

※1 NDC:Nationally Determined Contribution、国が決定する約束草案。パリ協定に基づいて、各国が自主的に決定する温室効果ガス(GHG)の削減目標。
※2 パリ協定:「京都議定書」(2020年以降失効)の後継となるもの。2015年12月にCOP21において全会一致で採択された、2020年1月以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み。産業革命以前(1750年前後)に比べて地球の平均気温上昇を2℃より十分低く抑える(2℃目標)世界共通の長期目標(努力目標として1.5℃に抑えることを追求)。
※3 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル。1988年に設立された国連組織。
※4 https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/34275/
※5 COP25:The 25th Session of the Conference of the Parties、国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(特定の条約を結んだ国々の集まり)。国連気候変動枠組条約(UNFCCC:United Nations Framework Convention on Climate Change)に基づく締約国会議で、温室効果ガス排出削減等の国際的枠組みを協議する最高意思決定機関。出所 各種資料より編集部で作成

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