延期された会期とシャーマ議長の振り返り
写真3 COP26閉会の辞を語るCOP26のアロク・シャーマ(Alok Sharma)議長
COP26は、もともと2021年11月12日までの日程(会期)で予定されていたが、後述する石炭に関する交渉などの影響によって、会期を1日延長して11月13日の閉会となった。
今回、議長を務めた英国のアロク・シャーマ氏(写真3)は、COP26を締めくくるにあたって「この終わり方について、謝ります」と発言し、涙ぐんだと報道された注5。ただし、それはCOP26が失敗に終わったというわけではない。実際、今回の会議のシャーマ議長の締めくくりの発言として次のような言葉が紹介されている注6。
We can now say with credibility that we have kept 1.5 degrees alive. But, its pulse is weak and it will only survive if we keep our promises and translate commitments into rapid action.
[筆者試訳]1.5℃(という目標)を生きながらえさせることができたと、今となっては自信をもっていうことができます。しかし、その鼓動は弱く、私たちが約束を守り、それを迅速な行動に移さなければ、生き残ることはできません。
この言葉からもわかるとおり、今回のCOP26は、世界全体での気候変動の取り組みを大きく前進させるものとなったと同時に、それを実現するための課題も浮き彫りにした会議となった。
グラスゴー気候合意(Glasgow Climate Pact)で示された8つの項目
COP26での合意事項は、「グラスゴー気候合意」(Glasgow Climate Pact)注7としてまとめられた。10ページに渡る文書の中では、合意内容が、表1に示す8つの項目で整理されている。
表1 「グラスゴー気候合意」で紹介されている合意項目一覧
※キャパシティ・ビルディング(能力の開発)とは、パリ協定の第11条などで定義されているもので、主に締約国の中の途上国が気候変動に対応するために必要な対応能力(例えば技術開発や技術の普及、導入などに関するもの)を向上させることを意味する。COP関連の文章などでは略して「キャパビル」と表記されることもある。
出所 グラスゴー気候合意文書をもとに著者作成
▼ 注5
【COP26】合意採択前に議長、謝罪し涙ぐむ 石炭めぐり - BBCニュース
▼ 注7
https://unfccc.int/sites/default/files/resource/cma2021_L16_adv.pdf