英国政府がまとめたグラスゴー気候合意の4つの合意項目
COP26の開催にあたり、議長国である英国は独自にCOP26のWebサイト注8を開設し、そこでさまざまな情報発信を行っていたが、その中でCOP26閉会後に“COP26 The Glasgow Climate Pact”(COP26グラスゴー気候合意)注9という合意文書をもとにしてつくられた資料を公開している(2021年11月27日)。
この文書では、今回の合意事項を表2に示す4つの観点でまとめている。なお、この4点は、COP26開催前に“COP26 Explained”(COP26の説明)注10という文書を公開し、その中で「COP26で達成すべき項目」(What do we need to achieve at COP26?)として掲げていた4つの目標に対応させた形となっている。
表2 英国政府によるグラスゴー気候合意のまとめ
※NDC:Nationally Determined Contribution、国が決定する貢献。国が自主的に決めるCO2削減目標のこと。
出所 COP26 The Glasgow Climate Pactをもとに著者作成
気候変動に関する「緩和」「適応」「損失と損害」の意味
ここからは、グラスゴー気候合意の4つの内容を元に、今回のCOP26の合意事項を紹介していくが、その前に、この合意事項の項目をはじめとして、気候変動に関する国際的な議論で頻出する「緩和」や「適応」、「損失と損害」というキーワードの位置づけを整理しておく。
これらのキーワードはパリ協定の中で登場するものであるため、パリ協定の和訳注11および外務省による「パリ協定の説明書」注12中にある文言をもとにしてまとめると、表3のようになる。
表3 気候変動に関するキーワードの解説
出所 パリ協定の和文およびパリ協定の説明書等をもとに筆者作成、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000197312.pdf https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000197314.pdf
表3からわかる通り、「緩和」というのは、気候変動がこれ以上進行しないようにするための取り組みのことで、1.5℃目標などに関する取り組みのことである。しかし、この「緩和」の取り組みを進めても、その成果はすぐに現れるわけではない。そのため、気候変動に伴う影響や被害に「適応」するための、さまざまな策を講じていかなければならない。そして、そのような策が十分に講じられない場合は、気候変動による悪影響を受けた「損失や損害」を被ることになってしまう。
▼ 注9
https://ukcop26.org/wp-content/uploads/2021/11/COP26-Presidency-Outcomes-The-Climate-Pact.pdf
▼ 注10
https://ukcop26.org/wp-content/uploads/2021/07/COP26-Explained.pdf