次世代型の地熱発電技術調査を開始
〔1〕クリーンで燃料代のかからない再エネへの期待
気候変動による異常気象や、ウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機などを背景に、電力料金の高騰が続いている。さらに日本では、エネルギー自給率が11%(2020年)注2と先進諸国の中で最も低いことから、クリーンで燃料代のかからない再生可能エネルギー注3(以下、再エネ)への期待が大きい。
日本では、FIT/FIP制度の下で、再エネは「太陽光発電、風力発電、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電」の5つのエネルギー源が対象とされている。
〔2〕NEDOが4拠点で超臨界地熱発電の調査を開始
日本における再エネは、表1に示すように、2012年7月に開始されたFIT制度(固定価格買取制度)の下で、太陽光発電を中心に普及が拡大し、全電源構成比の中で、2011年度の10.4%から2019年度は18.1%へ拡大し、さらに2030年には、その倍となる36~38%(合計3,360~3,530億kWh)を目指している。これらによって、2030年度の温室効果ガス排出量を46%削減することを目指している。
表1 再生可能エネルギーの導入推移と2030年の導入目標
出所 資源エネルギー庁、「地熱発電の導入促進に向けた経済産業省の取組について」、令和4(2022)年1月
このような背景の下、最近、日本の再エネの中で、地熱発電のさらなる活用が注目されている。
例えば、表2に示すように、NEDOは、次世代型の地熱発電技術「超臨界地熱発電」の実現に向けて、2022~2023年度(2024年3月31日まで)に行う「超臨界地熱流体の特性に関する調査」に関する公募を開始した。具体的には、秋田県の湯沢南部、岩手県の葛根田(かっこんだ)と八幡平(はちまんたい)、大分県の九重の4区域で調査を開始することを発表した(2022年8月3日)。
表2 次世代型の地熱発電技術「超臨界地熱発電」の実現に関する調査内容
出所 NEDO「超臨界地熱流体の特性に関する調査」に係る公募について、2022年8月3日をもとに編集部で作成
▼ 注1
令和4(2022)年度地熱関連予算当初予算案〔155.4億円(前年度:139.7億円)〕
資源エネルギー庁、「地熱発電の導入促進に向けた経済産業省の取組について」令和4(2022)年1月
▼ 注2
資源エネルギー庁、「直近の電力需給・卸電力市場の動向について」(2022年3月25日)の24ページ
▼ 注3
資源エネルギー庁、なっとく! 再生可能エネルギー、「再生可能エネルギーとは」