IoT関連の技術展示会「IoT Technology 2016」(2016年11月16日~18日:パシフィコ横浜)のARMブースを見ると、展示会の雰囲気に似つかわしくない可愛らしいデザインの小さなブロックがあった。このブロックは「MESHタグ」というもので、ソニーの新規事業創出プログラムから生まれた「MESHプロジェクト」が開発、販売しているものだ。
図 手前に並んでいる7つのブロックが「MESHタグ」
撮影 SmartGridニューズレター編集部
MESHタグはARMのCortex-M0コアのマイクロコントローラを内蔵し、Bluetooth Low Energy(BLE)通信機能を持っている。それぞれのMESHタグは温度/湿度センサーや人感センサー、LED、押しボタンなどを備えている。それぞれ異なる機能を持つMESHタグを組み合わせ、簡単な設定をするだけで、ネットワークで連携したシステムを作れる。例えば、人感センサーを備えたタグを利用することで、立派な侵入監視システムを作れる。
MESHタグを連携させるには、iOS/Android対応のアプリケーションを使う。画面左側からMESHタグの対応するアイコンと、「音を鳴らす」「カメラで撮影する」などのiOS/Android機器が備える機能を表すアイコンを引き出して、結びつけて簡単な設定をするだけでシステムが完成する。例えば、人感センサーが人を検知したら、カメラで撮影するシステムなどを遊び感覚の操作で作れるのだ。
図 MESHタグの設定画面。人感センサーが人を感知したらカメラで撮影するように設定した
撮影 SmartGridニューズレター編集部
MESHタグは、インターネットのサービスと連携させる機能まで持っている。Gmailと、IFTTTというサービスと連携することが可能だ。IFTTTとは、TwitterやTumblr、Facebookなどのサービスをドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で連携させるサービスだ。インターネットとの連携機能を利用することで例えば、温度/湿度が一定の値に達したところでGmailでメールを出したり、Twitterでツイートするといったことができる。
図 MESHタグはGmailやIFTTTといったインターネット上のサービスと連携させることができる
撮影 SmartGridニューズレター編集部
振動を検知するMESHタグを利用することで、子供が帰宅したことをメールで知らせるシステムなどを作ることもできる。子供が帰宅したときに鍵を入れる箱を作っておき、そこに振動を検知するMESHタグを置いておく。あとは、鍵を置いたときに発生する振動を検知したらメールを出すように設定するだけでよい。
現在、家電に通信機能を持たせてインターネットのサービスと連携させる動きが始まりつつある。家庭でIoTの技術を利用しようというものだ。しかし利用するには、対応家電を揃えたり、機器の設置工事などが必要だ。MESHはそんなに大掛かりなことをしなくても、簡単な操作だけで家庭にIoTシステムを作れるという可能性を十分に感じさせてくれるものだ。MESHタグはスイッチサイエンスやAmazonなどの通販サイトなどで販売している。7種類のMESHタグのセットは3万8000円程度で購入できる。
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MESHプロジェクト