横浜市内は100年あたりで気温が「2.7℃」も上昇
全国の基礎自治体で第1位となる人口373万人を擁する神奈川県横浜市(表1、写真1)が、現在、直面している課題は、横浜市内の平均気温が、100年間あたりで約2.7℃も上昇していることである(図1)。この影響によって現在も、ゲリラ豪雨(40ミリ〜50ミリ注1)で道路が冠水するという事態が発生している。
写真1 神奈川県横浜市の外観(遠くに富士山も眺望できる)
出所 横浜市温暖化対策統括本部、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の取組と今後の展開について」、2017年9月
表1 横浜市のプロフィール
図1 横浜市が直面する課題 : 地球温暖化の影響
出所 横浜市温暖化対策統括本部、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の取組と今後の展開について」、2017年9月
ゲリラ豪雨の原因の背景にあるのは、地球温暖化による気温の上昇があるといわれている。また、横浜市の人口はこの60年で3.5倍も増えており、この人口の急増に伴ってCO2もいちじるしく増加しているという。
横浜市の温暖化対策実行計画とアクションプラン
〔1〕横浜市の温暖化対策実行計画(2014年3月改定)
温室効果ガス(CO2)の削減を抑制するため、横浜市は温暖化対策実行計画注2を、平成23(2011)年3月に策定し、同年4月1日に公表した(図2)。図2では、CO2の排出量が2010年(黄緑色)は1,932万トンも排出されており、人口も2020年までは増え続けと予測されている。
このことから国の目標注3を考慮すると、2020年で16%、2030年で24%、2050年で80%まで削減しないと目標に到達しない。
図2 横浜市地球温暖化対策の実行計画 : 短期・中期・長期目標
出所 横浜市温暖化対策統括本部、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の取組と今後の展開について」、2017年9月
〔2〕横浜市エネルギーアクションプランの策定
横浜市は、具体的な実行計画を着実に推進するためのプランとして、「横浜市エネルギーアクションプラン」を、平成27(2015)年3月に策定した(図3)。これは、図2に示した実行計画の目標に基づくものとなっており、図3に示した「エネルギーマネージメント」「再エネ」「水素」「省エネ」「まちづくり」の5つアクションプランのうち、「エネルギーマネージメントの展開」がYSCPの最も中心的なポイントとなっている。
図3 横浜市エネルギーアクションプラン〔平成27(2015)年3月策定〕
CASBEE:Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficienty、建築物総合環境性能評価システム。国土交通省支援のもとに、一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が開発したシステム
出所 横浜市温暖化対策統括本部。「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の取組と今後の展開について」、2017年9月
▼ 注1
降水量(雨が降る量)の単位はミリ/時間(mm/h)で表される(雪やあられ、ひょうも含む単位)。1時間の降水量が40〜50ミリということは、店舗の浸水や家屋の床下浸水、マンホールからの水の噴き出しなどが発生する高いレベルである(道路が大規模に冠水するレベルともいわれる)。
▼ 注2
平成23(2011年)年4月1日に策定された、横浜市地球温暖化対策実行計画:平成22(2010)〜平成25(2013)年度の改定版。