IoTを活用した蓄電池のVPPを実証
さらに横浜市は、経済産業省が、2020年までに50MW以上のVPP(Virtual Power Plant、仮想発電所)の構築を目指して、2016〜2020年度の5カ年計画注16で推進している「VPP構築実証事業」にも参加している。
すでに、東京電力エナジーパートナー(東京電力EP)と東芝との協定を締結し(期間:2016年7月6日〜2018年3月31日)、「エネルギー循環都市」の実現に向けて実証事業を展開している。
具体的には、表4に示すように、10〜15kWh容量の蓄電池を市内の小中学校(2017年時点で各区2校、全36校。地域防災拠点)に設置して、
表4 横浜市が推進するスマートレジリエンスVPP構築事業
出所 各種資料をもとに編集部作成
- 通常時は東京電力EPが電力の需給調整に活用
- 非常時は横浜市が防災用電力として利用
という協定のもとに運用されている(図11、写真2)。
図11 VPP(仮想発電所)構築事業 : 蓄電池によるVPPの構成図
出所 横浜市温暖化対策統括本部、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の取組と今後の展開について」、2017年9月
写真2 VPP構築事業における蓄電池盤(写真左。外観と内部)と設置場所
出所 横浜市温暖化対策統括本部、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)の取組と今後の展開について」、2017年9月
今後も横浜市は、スマートレジリエンスVPP構築事業注17を推進し、環境に配慮した防災の向上、再エネの有効活用と電力安定化の両立を目指している。
このほか横浜市は、みなとみらい地区において、みなとみらい21熱供給株式会社(横浜市中区桜木町)が運営・管理する、日本一大きな地域冷暖房システムによって、同地区にある各施設に冷水・蒸気の供給を行い、エネルギーの面的な展開も行っている。
▼ 注16
VPP構築実証事業:VPP(仮想発電所)とは、太陽光発電や風力発電、蓄電池などの需要家側に設置されている分散エネルギー資源を、IoTによって統合し、あたかも1つの発電所であるかのように機能させる仕組みのこと。
▼ 注17
スマートレジリエンス:低コストで環境性が高く、災害に強い設備・街づくりを構築する取り組み