月島機械は2016年12月20日、電源開発(Jパワー)、三笠特殊工業と共同事業体を組成し、福岡県の「御笠川那珂川流域下水道御笠川浄化センター下水汚泥固形燃料化事業」の契約を締結したと発表した。バイオマス資源である下水汚泥を原料に燃料を作り、火力発電所で利用するという事業だ。
燃料製造には「低温炭化技術」を活用する。一般的な炭化技術では原料を600℃~800℃の高温で加熱するが、低温炭化技術では250℃~300℃という比較的低い温度で加熱する。低い温度で加熱することで、高温で処理したものよりも、高い熱量を持つ燃料を作れる。消化させて、ガスを分離した「消化汚泥」を原料とする場合、高温炭化でできる燃料は熱量が1Kg当たり7~9MJで、低温炭化で生成した燃料の熱量は1kg当たり13~16MJとなる。ちなみに環境省の調査によると輸入石炭の熱量は1kg当たり26.6MJで、木材の熱量は1kg当たり14.4MJだ。
今回の事業では、消化汚泥を低温炭化技術で処理する施設を作る。生成する燃料の熱量は1kg当たり14.1MJとなる予定。この施設では1年間に脱水汚泥3万3000トンを処理し、約3800トンの燃料を作る。
図 汚泥を燃料に加工する施設のイメージ
出所 月島機械
脱水汚泥を燃料に加工する施設は月島機械が設計、建設する。建設予定地は福岡市博多区にある「御笠川那珂川流域下水道御笠川浄化センター」の敷地内。2019年から施設の稼働を開始する予定。施設の維持管理、運営は共同事業体を組成した3社で担当する。汚泥を原料とした燃料はJパワーの石炭火力発電所で、石炭と混焼させる。