三菱重工業は2017年2月3日、デンマークのVestas Wind Systemsと合弁で設立したMHI Vestas Offshore Windが開発、販売している風力発電設備「V164-8.0MW」を高出力化した試作機が、24時間で216MWh(21万6000kWh)を発電したと発表した。1台の風力発電設備による1日の発電量としては世界最大記録となる。
図 MHI Vestas Offshore Windの洋上風力発電設備「V164-8.0MW」
出所 MHI Vestas Offshore Wind
V164-8.0MWは、定格出力が8MW(8000kW)となっているが、制御ソフトウェアを改良することで、出力を引き上げる「パワーモード」を利用できるようになっている。パワーモードを利用すると出力は最大で8.3MW(8300kW)まで上がる。
今回世界記録を達成した設備は、V164-8.0MWを基に出力をさらに引き上げる改良を加えたもの。改良の結果、最大出力は9MW(9000kW)となった。詳細な改良内容について三菱重工業は「まだ試作段階であるため公表できない」としている。
世界記録を達成した場所はデンマーク北部にあるウスタイル(Østerild)試験場。ここで24時間実施した実証運転で世界記録を達成した。三菱重工業は「改良して大出力化した設備を風況の良いところに設置したことで、世界記録を達成できた」としている。
V164-8.0MWはこれまでに、スコットランドのアバディーン沖に建設中の洋上風力発電所や、ドイツ北西の北海に建設中の「ボークム・リフグルンド2洋上風力発電プロジェクト(Borkum Riffgrund 2 Project)」など、数多くの受注を獲得している。受注済みの設備の最大出力を合計すると1600MW(160万kW)を超えるという。