[スペシャルインタビュー]

東京電力のスマートメーター「入札延期」の真相とオープン化・国際標準化への新戦略 ─前編─

2012/11/01
(木)

第2部 心臓部となるスマートメーター網(AMI)の技術と3つの通信方式

電力情報を取得するルート:Aルート/Bルートの問題

─スマートメーターを核としたシステムとしてスマートメーター網(AMI)が注目されていますが、先ほどのスマートメーター仕様の拡張性とはどのようなことでしょうか。

浅見例えば図1に示すスマートメーターと電力間のAルート注9に関しては、最初はオープンなIPを使用しない東電の独自仕様だったのです。それでは、海外も含めた外部事業者が参入できないではないばかりでなく、スマートグリッドのインフラとも言われるAMI(スマートメーターネットワーク基盤)ビジネスにも、また上位のアプリケーションサービスにも参入できないことになります。
 そのようなクローズドなビジネスモデルでは、今後のスマートグリッドビジネスの発展に大きな障害になってしまう。この点が非常に重要なポイントで、その部分の仕様の見直しをすることになったのです。
 また、東電としては、スマートメーターから先の家庭内の部分(Bルート:図1のスマートメーターとHEMS間)は、法的にも電力会社の責任分界点の外側ですので、東電仕様では、Bルートについてはほとんど考慮されていませんでした。
 すなわち、東電がスマートメーターへ移行するにあたっては、東電独自のAルートの仕様のみに最適化されたものだったのです。スマートメーターからHEMSが直接、電力使用量のデータを取得するBルートに関しては、需要家側(一般家庭)が必要に応じて対応すればよいのではないか、という状況だったのです。

─制度の良し悪しは別にして、現状の法的な制約環境では、東電としては、そうならざるを得なかった面もありますね。


▼ 注9
図1にはCルートを省略している。詳しくは次号の後編を参照。

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