第2部 心臓部となるスマートメーター網(AMI)の技術と3つの通信方式
◆電力情報を取得するルート:Aルート/Bルートの問題
─スマートメーターを核としたシステムとしてスマートメーター網(AMI)が注目されていますが、先ほどのスマートメーター仕様の拡張性とはどのようなことでしょうか。
浅見:例えば図1に示すスマートメーターと電力間のAルート注9に関しては、最初はオープンなIPを使用しない東電の独自仕様だったのです。それでは、海外も含めた外部事業者が参入できないではないばかりでなく、スマートグリッドのインフラとも言われるAMI(スマートメーターネットワーク基盤)ビジネスにも、また上位のアプリケーションサービスにも参入できないことになります。
そのようなクローズドなビジネスモデルでは、今後のスマートグリッドビジネスの発展に大きな障害になってしまう。この点が非常に重要なポイントで、その部分の仕様の見直しをすることになったのです。
また、東電としては、スマートメーターから先の家庭内の部分(Bルート:図1のスマートメーターとHEMS間)は、法的にも電力会社の責任分界点の外側ですので、東電仕様では、Bルートについてはほとんど考慮されていませんでした。
すなわち、東電がスマートメーターへ移行するにあたっては、東電独自のAルートの仕様のみに最適化されたものだったのです。スマートメーターからHEMSが直接、電力使用量のデータを取得するBルートに関しては、需要家側(一般家庭)が必要に応じて対応すればよいのではないか、という状況だったのです。
─制度の良し悪しは別にして、現状の法的な制約環境では、東電としては、そうならざるを得なかった面もありますね。
▼ 注9
図1にはCルートを省略している。詳しくは次号の後編を参照。