[スペシャルインタビュー]

東京電力のスマートメーター「入札延期」の真相とオープン化・国際標準化への新戦略 ─前編─

2012/11/01
(木)

FAN(地域通信網)には3つの通信方式を検討

─現実的には、東電ではどのような通信方式が検討されているのでしょうか。

浅見そうですね。前ページの図3のように、スマートメーターから電力会社側(すなわち屋外)に位置するFAN(Field Area Network、地域通信網)やWAN(Wide Area Network、広域通信網)のうち、FANには表3に示すように、「無線マルチホップ」「1:N無線」「PLC」などの3つの方式が検討されています。
 東電の場合は、約2700万軒をカバーするスマートメーター向けの通信ネットワーク(AMI)を構築するために、都心の密集している住宅街や、地下街や高層マンション、郊外や山間地など、さまざまな地域の特性に応じて、上記3つの通信方式を採用する必要があるのです。

 

東京電力は無線マルチホップ通信方式を推進してきた

─いろいろな方式があることはわかりましたが、東電としては、これまでどの方式を推進してきたのでしょうか。

浅見東電の場合は、自前の光ファイバを敷設済みの地域が一部にあります。そのため、自前のファイバから後の家庭までの100〜200m程度のラストワンホップ(FAN)をどうするかという議論がされてきました。具体的には、PLC方式にするのか、無線マルチホップ方式(920MHz特定小電力無線)にするのかということです。これまで東電は、図4に示すようなマルチホップ方式(バケツリレー式)で推進してきました。
 これに対して、海外メーカーも含め、PLCなども考慮してほしいという要望が出されましたが、これに関しては費用対効果を考慮し、ケース(エリア)ごとに最適解があるのではないかを検討しました。その結果、今回エリアごとに最適な導入方法(前述の3方式)を提言したのです。


◆図4出所
http://jp.access-company.com/files/legacy/products/networksolutions/smartobjects/pdf/NFSO_2010_06.pdf

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