基地局の非常用電源に水素燃料電池を活用、ドコモ

水素燃料電池を既設の蓄電池と併用する実証を開始

インプレスSmartGridニューズレター編集部

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水素燃料電池を商用基地局の非常用電源に適用

 株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、グリーン水素を活用した純水素燃料電池(以下、水素燃料電池)を商用基地局の非常用電源に適用する実証実験を2025年11月17日に開始した(図1)。日本初の取り組みだという。現在、基地局で使用しているメタノール型燃料電池の代替手段の開発と、非常用電源の選択肢を広げるのが目的。同日に発表した。

図1 NTTドコモの実証では、水素燃料電池を基地局に接続し、既設の蓄電池と併せて非常用電源として使用する

水素燃料電池が起動するタイミングの蓄電池電圧を推定

 ドコモは、長時間停電や災害時などの対策として、蓄電池やメタノールを燃料とした燃料電池(メタノール型燃料電池)を基地局の非常用電源として活用している。メタノール型燃料電池は発電時に二酸化炭素(CO2)が発生するため、代替技術を検討していた。

 今回の実証では、水素燃料電池を基地局に接続し、既設の蓄電池と併せて非常用電源として使用する(図2)。

図2 実証の全体概要

 水素燃料電池を蓄電池と並列に接続して使用するには、(1)水素燃料電池の発電電力が蓄電池に充電される、(2)蓄電池の電力使用が優先され、水素燃料電池の発電電力が無線装置に供給されない、という2つの課題があった。

 そこで、基地局が停電した際の非常用電源として、水素燃料電池を優先的に使用するため、水素燃料電池が起動するタイミングの蓄電池電圧を推定し、水素燃料電池の出力電圧を調整する「出力電圧制御技術」を開発した(図3)。これにより、水素燃料電池の発電電力が蓄電池に充電されず、蓄電池より優先して無線装置に供給することを可能にしたという。

図3 出力電圧制御技術の概要


 

 水素燃料電池は、山梨県企業局と連携し、米倉山(山梨県甲府市)における「やまなしモデルP2Gシステム」で生成されたグリーン水素を使用している。水素燃料電池の状態は、EMS(エネルギー・マネジメント・システム)基盤で監視する。

 2025年11月17日から2027年3月31日の期間に実施し、(1)水素燃料電池の安定動作確認、(2)停電の検知にもとづく水素燃料電池の出力、(3)水素燃料電池と蓄電池の併用運転、(4)復電に応じた水素燃料電池の出力停止の4点を検証する。



 

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