エアコンを電力需給に応じ制御し消費電力33%減、シャープとドコモ

エネルギーマネジメントシステムを活用した実証を実施

インプレスSmartGridニューズレター編集部

14:08

家庭用エアコンをDR制御する実証

 シャープ株式会社(以下、シャープ)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、家庭用エアコンを電力の需給バランスに応じて制御(DR:デマンドレスポンス)する実証実験を共同で実施した。両社が構築したエネルギーマネジメントシステムを活用してエアコンを制御することで、約33%の消費電力削減効果を確認したという(図1)。シャープが2025年11月28日に発表した。

図1 シャープとドコモが構築したエネルギーマネジメントシステムのイメージ

節電効果と快適性の両立を確認

 シャープは、家庭内の機器の消費電力を抑制するとともに、DR制御により電力の需給変化にも対応する省電力遠隔制御プラットフォームの開発を進めている。2024年6月には、同プラットフォームを活用したエネルギーマネジメントシステムの構築に向け、ドコモと協業を開始した。

 シャープとドコモの実証は、プラットフォームとシャープ製のエアコンを使用し、2024年の夏季と冬季、2025年夏季の計3回実施した。対象は、両社従業員の参加希望者。

 2024年の夏季と冬季の実証では、各世帯におけるエアコンの運転状況や住宅性能、参加者からのフィードバックなどをプラットフォームが分析・学習し、エアコンの設定温度を制御した。その結果、夏季の実証では、参加世帯の平均で約33.5%の消費電力削減効果を確認したという。また、参加者へのアンケート調査では、95%以上の参加者から「快適性に問題がない」との回答があり、国内の家庭用エアコン単独でのDR制御として初めて「節電効果」と「快適性」の両立を確認したとする。2024年冬季の実証でも、実験室評価で同等の効果を得ているという。

 2025年夏季の実証では、プラットフォームに暑熱対策を考慮したアルゴリズムを追加し、実証を実施。各世帯平均で約33.2%の消費電力削減効果を確認したという。さらに、室内のWBGT(暑さ指数)値が厳重警戒値の範囲に入る時にはDR制御を実施しないことで、参加者の安全性確保も確認したとしている。

 今回の実証結果を受け、ドコモが提供する「ドコモでんきエコ得プログラム」の自動エコモード対象機種に、2026年3月からシャープ製エアコンが追加される。

 今後は、プラットフォームの制御対象をエアコン以外の機器や蓄電池にも拡大する計画だ。

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