ペロブスカイトでグリーン水素を製造、京都府

SOFC活用と併せて実証開始

インプレスSmartGridニューズレター編集部

5:57

ペロブスカイトとSOFCを活用した実証

 京都府は、ペロブスカイト太陽電池注1を活用し、製造過程でCO2を排出しないグリーン水素を製造する実証を、2025年12月1日から2026年2月27日にかけ、京都舞鶴港国際埠頭(京都府舞鶴市)で実施する(図1)。併せて、製造した水素を燃料に固体酸化物形燃料電池(SOFC)注2で発電し、エネルギーマネジメントシステムで制御しながら港湾施設に電力供給する実証も実施する。同日に発表した。

図1 京都府による「グリーン水素を活用した純水素燃料電池普及に向けた実証事業」の全体イメージ

防災用途におけるグリーン水素の製造と電力供給の有効性を検証

 京都府の「グリーン水素を活用した純水素燃料電池普及に向けた実証事業」では、既設の太陽光発電設備とペロブスカイト太陽電池で発電した電気を水電解装置や周辺機器に活用し、水素を製造する(写真1)。水素は水素タンクに一度貯蔵した後に、大気中の酸素と化学反応させて固体酸化物形燃料電池(SOFC)で発電する。その電力をコンテナ倉庫内の照明や水銀灯に供給する。

写真1 実証場所である舞鶴港国際埠頭に設置されたペロブスカイト太陽電池

 水素の製造や電力の供給は、気象観測・予報などの情報をもとに、エネルギーマネジメントシステムで遠隔から監視・制御する。

 これにより、長期貯蔵が可能である水素の特徴を活かしたながら、防災用途におけるグリーン水素の製造と電力供給の有効性を検証する。

 水素タンクと水電解装置、エネルギーマネジメントシステムを事業の受託者である株式会社エノアが提供し、ペロブスカイト太陽電池とSOFCを株式会社アイシンが提供する。


注1:ペロブスカイト太陽電池:薄型・軽量・曲がるという特徴を持つ太陽電池。建物の壁面や耐荷重に制限がある屋根など、従来のシリコン太陽電池では設置が難しい場所にも適用できることから、再生可能エネルギー普及への貢献が期待されている。
注2:固体酸化物形燃料電池(SOFC):水素と酸素を化学反応させることで発電し、発電時にCO2を排出せず、高い発電効率が得られるエネルギーシステム。

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