EVトラック向けエネルギーマネジメントサービスを開始
いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ)は、EV(電気自動車)トラック向けのエネルギーマネジメントサービス「SmartEVer」を2025年12月1日に開始した。EVの一種であるBEV(バッテリー電気自動車)のトラック「エルフEV」(いすゞ製)を対象にしたもので、同車の充電管理で施設電力のピークシフトを可能にし、電気料金を削減して同車の導入・運用に関わる負担低減につなげるという。同日に発表した。
図1 「SmartEVer」の全体イメージ
車両の充電制御で施設全体の電力ピークの発生を抑制
複数台のBEVを運用する際には、同時充電による施設電力の一時的な上昇が契約電力や電気料金の増加につながる可能性がある。そのため、エネルギーマネジメントを活用した効率的な充電管理で、電気料金の上昇を抑えることが求められているという。
今回開始したSmartEVerでは、施設の電力使用量の実績・予測データをエネルギーマネジメントプラットフォームで分析し、その結果をもとに、いすゞの商用車情報基盤「GATEX」が車両に必要となる充電量を算出し、車両へ充電の受け入れ量を指示する。この受け入れ量に合わせて車両側で充電することにより、施設全体の電力ピークの発生を抑制し、電気の基本料金増加を防止するとしている。
エルフEVは、通信で充電を制御する機能が備わっているため、充電器と車両の紐づけが不要で、任意の駐車スペースで充電管理が可能だという(写真1)。
写真1 SmartEVerの対象車種となる、いすゞの「エルフEV」
エネルギーマネジメントプラットフォームには、アイ・グリッド・ソリューションズの「R.E.A.L. New Energy Platform」を採用している。
いすゞは、2023年3月、エルフEVの市場投入に合わせ、商用BEV導入時の課題を包括的に支援するトータルソリューションプログラム「EVision」の提供を開始した。2024年10月には、株式会社伊藤園、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズと連携し、エルフEVを使用したエネルギーマネジメントの実証を実施した。今回、その知見と技術を反映してSmartEVerを開発した。
今後、いすゞは、SmartEVerを通じてEVisionのサービス拡充を図るとともに、BEVトラックの安心・効率的な運用を支援し、物流の電動化を進める。また、太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギー設備を活用したサービス運用も検討する。