大型原油タンカーに風力補助推進装置を世界初搭載
出光タンカー株式会社(以下、出光タンカー)は、大型原油タンカー(VLCC)に風力補助推進装置「ローターセイル」を搭載する(写真1)。VLCCへの同装置搭載は世界初という。船の推進に風力を活用することで、重油の1日当たりの使用量を約5〜25%削減すると見込む。搭載するVLCCをフィンランドのNorsepower Oy Ltd.(以下、Norsepower)製品に決定し、2025年12月2日に発表した。
写真1 風力補助推進装置「ローターセイル」を搭載した大型原油タンカーのイメージ
燃料消費と温室効果ガスの排出を抑制
ローターセイルは、甲板に取り付けた円柱状のローターを回転させて風を受け、生じる揚力を推進力へ変換する「マグヌス効果」を活用する装置。
今回、出光タンカーは、ジャパン マリンユナイテッド株式会社(JMU)有明事業所で2028年および2029年に竣工予定のVLCC2隻に、高さ35メートル、直径5メートルのローターセイルを各船2基ずつ搭載する予定。
同装置の導入により、風力を活用して燃料消費と二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガス(GHG)の排出を抑制するのに加え、風力利用によってエンジン負荷の軽減とエネルギー効率の向上につなげるという。
同船は、Norsepower製のローターセイルに加え、メタノール及び重油を燃料とする「二元燃料焚き」、及び航行中に主機プロペラ軸の回転を利用して発電する軸発電機を採用する。