ペロブスカイトを窓に組み込み実証、YKK APら3社

環境負荷・発電性能・実用性を検証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

12月8日 19:45

ペロブスカイト太陽電池を組み込んだ建材一体型太陽光発電の実証開始

 YKK AP株式会社(以下、YKK AP)、中電工業株式会社(以下、中電工業)、中国電力株式会社(以下、中国電力)は、窓にガラス型ペロブスカイト太陽電池注1を組み込んだ建材一体型太陽光発電(BIPV: Building Integrated Photovoltaics)の実証実験を2025年12月4日に開始した(写真1)。YKK APが同日に発表した。

写真1 中国電力、中電工業、YKK APが実証を実施する設備「HIROSHIMA ZERO BOX」の外観と内観

環境負荷・発電性能・実用性を検証

 3社の実証は、2025年12月4日から2027年3月31日の予定で、中電工業の地域交流広場「ヤマヤマミタ」(広島県広島市)内にある、BIPVの実証実験をするためのトレーラーハウス「HIROSHIMA ZERO BOX」(YKK AP製)で実施する。YKK APがHIROSHIMA ZERO BOXを西日本に設置するのは初だという。

 具体的には、内窓に組み込んだガラス型ペロブスカイト太陽電池(600mm×1200mmを計5枚)と軽量型単結晶シリコン太陽電池(385mm×418mmを計2枚)、壁に組み込んだ単結晶シリコン太陽電池(1000mm×1200mmを計4枚)、屋根に組み込んだ単結晶シリコン太陽電池(1054mm×1616mmを計6枚)を、HIROSHIMA ZERO BOXに設置する。それらで発電した電気をハウス内の照明や空調に利用し、環境負荷の低減と発電性能や実用性を検証する。

 また、HIROSHIMA ZERO BOXは、実証と併せて学校や企業などの交流拠点としても活用する。

 YKK APによると、内窓タイプのBIPVは設置工事やメンテナンスが容易であるのに加え、断熱性や遮音性を確保しながら、エネルギーを得ることができ、太陽光発電の普及につながるものとして注目されている。


注1:ペロブスカイト太陽電池:従来型のシリコン系太陽電池とは異なる、ペロブスカイトと呼ばれる構造を持つ太陽電池。耐荷重の小さい場所や曲面構造など従来設置が困難だった場所への導入には薄膜軽量のフィルム型、透過性太陽電池には主にガラス型で開発が進んでいる。

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