蓄電池ビジネス市場は2030年度に4240億円へ拡大、矢野経済予測
一次調整力の収益環境に変化 上限価格は現行比半分以下に2026年1月20日 (火曜) 16:46
蓄電所ビジネス市場規模は2030年度には4240億円へ
国内の蓄電所ビジネス市場規模は、相次ぐ蓄電所の運転開始を受けて、2024年度の450億円から、2025年度には750億円に拡大する。こうした予測を、株式会社矢野経済研究所(以下、矢野経済研究所)が2026年1月20日に発表した。政府は2030年度における系統用蓄電池の導入見通しを累計14.1~23.8 GWhとしており、2030年度の蓄電所ビジネス市場規模は2024年度比約10倍の4,240億円程度まで拡大すると予測する。
再エネ普及に伴う調整力需要の拡大
矢野経済研究所によると、国内における蓄電所の需要は、電源構成に占める再エネ比率の上昇とともに高まっている。経済産業省の「エネルギー需給実績」によれば、2012年度に約10%であった再エネ比率は、2023年度には約23%まで上昇した。太陽光や風力などの自然変動電源は出力が天候に左右されるため、系統の安定化にはその変動を吸収する調整力が不可欠となる。蓄電所はこの調整力を提供する基盤として、電力取引市場における重要な役割を担っている。
蓄電所ビジネスは、系統用蓄電池や再エネ併設型蓄電池を活用し、複数の電力取引市場での運用を通じて収益を得るモデルである。電力取引市場には、実際に発電された電力(kWh価値)を取引する「卸電力取引所」や、需給バランスの調整能力(ΔkW価値:デルタキロワット価値)を取引する「需給調整市場」、将来の電力供給力を取引する「容量市場」などがある。2024年4月に需給調整市場が全面開場したことで、ビジネスを展開するための環境が整った。現在は一次調整力注1を中心とした取引が収益の柱となっている。
注目すべき動向として、需給調整市場における入札上限価格の変更が挙げられる。同市場は、2024年4月の全面開場以降、応札不足が慢性化している。同市場では入札価格の低い順に約定される「マルチプライスオークション方式」が採用されており、応札不足の状況では入札者が価格決定力を持つことになる。応札不足による価格高騰を防ぐために上限価格が設定されているが、2026年度よりこの価格が大幅に引き下げられる見込みである。
具体的には、2025年12月時点で19.51円/ΔkW・30分注2に設定されている一次調整力などの上限価格を、現状の半分以下となる7.21円/ΔkW・30分に引き下げる案が経済産業省から示されている。この制度変更は、蓄電所ビジネスの収益環境に大きな影響を与える可能性がある。
注1:一次調整力:電力系統の瞬時の周波数変動に対応するための調整力。応答時間が極めて短いことが特徴。
注2:ΔkW価値(デルタキロワット価値):需給バランスを調整するための能力(供給力)に対して支払われる価値。
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