2016年2月24日、大阪ガス株式会社(以下:大阪ガス、大阪市中央区、代表取締役社長:本荘 武宏)は、アイシン精機株式会社(以下:アイシン精機、愛知県刈谷市、取締役社長:伊原 保守)、京セラ株式会社(以下:京セラ、京都市伏見区、代表取締役社長:山口 悟郎)、株式会社ノーリツ(以下:ノーリツ、神戸市中央区、代表取締役社長兼代表執行役員:國井 総一郎)と共同で家庭用固体酸化物形燃料電池(SOFC:以下、エネファームtype S)の新製品を開発※1したことを発表した。
「エネファームtype S」は、大阪ガス、アイシン精機、京セラの3社とトヨタ自動車株式会社(以下:トヨタ、愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男)が開発した技術をベースに商品化したものである。同製品は、電気を発生させるセルスタック※2を京セラが、セルスタックを組み込んだ燃料電池発電ユニット(以下:発電ユニット)をアイシン精機が、発電ユニットとセットする熱源機・リモコンをノーリツがそれぞれ製造し、大阪ガスが2016年4月から販売を開始する。
写真1 発電ユニット・セット用熱源機
写真2 インターホンリモコン
(左:台所リモコン、右:浴室リモコン)
◆「エネファームtype S」主な特徴
- 世界最高※3の発電効率※4と世界最小※5の機器本体サイズを実現:
大阪ガスと京セラが共同で開発したセルスタック耐久性向上技術※6を採用することにより、高い発電効率と耐久性を両立することに成功し、世界最高の発電効率52%を達成した。また、発電ユニットに貯湯タンクを内蔵し、通常のガス給湯器※7に接続する仕組みとしたことで、世界最小の機器本体サイズを実現している。
- 設置が可能な対象住戸の拡大:
技術・仕様の革新により、戸建住宅に比べて設置スペースに制約のあるマンションへの設置を容易にした。また、現在使用中のガス給湯器をそのまま利用し、発電ユニットだけを後付で設置することが可能となっている。これらにより、従来以上に、幅広い顧客層が製品を導入出来る仕様となっている。
新築マンションへの導入については、2016年2月24日時点で、積水ハウス株式会社、大和ハウス工業株式会社、野村不動産株式会社、株式会社NIPPO、三菱地所レジデンス株式会社及び大阪ガス都市開発株式会社の自社が供給する物件(計6物件、770戸)に対し、新製品を採用する意向を表明している。
- コストダウンを実現:
機器仕様の大幅な見直し等により、発電ユニットと熱源機のセット希望小売価格(税抜)は現行品よりも約25万円の低価格となる1,785,000円※8、発電ユニット単体の希望小売価格(税抜)は1,425,000円※9を実現した。
- 利便性の向上:
IoT※10技術を活用し、新製品をより安心、快適にご利用できる以下の3つのサービス※11を提供する。
▶発電状態を常時見守り、万が一の際は駆けつける「発電見守りサービス」
▶発電量や1か月の電気代予測などを確認できる「省エネナビゲーション」
▶外出先からお風呂のお湯はりや床暖房の操作ができる「ガス機器遠隔操作」
- 余剰電力の買取開始による経済性・環境性の向上:
大阪ガスは、2016年4月から実施される電力の小売全面自由化に合わせ、同製品で発電し、導入顧客宅で使われなかった電力(余剰電力)の買い取りを日本で初めて実施する。※12
同製品は、常に高効率な発電性能を発揮する運転(定格出力運転)により、環境負荷の小さい電力を最大限作り出し、その際に生じた余剰電力を大阪ガスが買い取をおこなう。機器の性能向上と余剰電力の買い取りにより、給湯暖房システム※13を使用する場合と比べると、年間の光熱費を約9.9万円※14、CO2排出量を約2.6トン削減※14できる。また、この買い取った電力は「大阪ガスの電気」として、他の顧客に使用される。これにより、社会全体のCO2削減や国が推進する電源の多様化・分散化、電力需給ピークの緩和に寄与していく。
※1 「エネファームtype S」はクリーンな天然ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、発電した電気を家庭内で利用するとともに、その際に出る熱もお湯として有効に利用できる環境に優しいエネルギーシステムとなる。開発にあたっては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託業務の結果得た成果を一部活用している。
※2 SOFCセルを積層したもの。セル同士はセル間接続部材により接続されている。水素と空気中の酸素を使って直流電流を発生させる。
※3 定格出力1kW以下の家庭用燃料電池で世界最高の発電効率(2016年2月24日時点の大阪ガス調べ)。
※4 低位発熱量基準(Lower Heating Value)にて算出。LHVとは燃料ガスを完全燃焼させたときに生成する水蒸気の凝縮潜熱を発熱量に含めない熱量。LPガスの場合の発電効率は51%。
※5 家庭用固体酸化物形燃料電池(排熱利用システムを含む)で世界最小のサイズ(2016年2月24日時点の大阪ガス調べ)。
※6 集電材コーティング技術。セル間を電気的に接続するステンレス部材である集電材にコーティングを施すことにより、高効率化と耐久性確保を両立。
※7 ガス給湯暖房機、ガスふろ給湯器、ガス給湯器などのガス給湯熱源機の総称。現在使用中のガス給湯熱源機に発電ユニット単体を後付設置する場合は、別売りの後付構成用発電連係リモコンが必要。組合せできるガス給湯熱源機には制限がある。詳しくは要問い合わせ。
※8 燃料電池発電ユニット(自立運転機能なし)192-AS06型、熱源機(24号自動・コンパクト)136-N200型、インターホンリモコン(インターホン機能・無線LAN機能付き)138-N411型の希望小売価格。設置工事費別。
※9 燃料電池発電ユニット(自立運転機能なし)192-AS06型、後付構成用発電連係リモコン(無線LAN機能付き)138-N412型の希望小売価格。設置工事費別。
※10 IoT:Internet of Things(モノのインターネット)
※11 顧客の無線LAN・インターネット環境との接続が必要。「省エネナビゲーション」と「ガス機器遠隔操作」は、顧客のスマートフォンとの接続および専用アプリ「エネファームアプリ2」をダウンロードする必要がある。「ガス機器遠隔操作」は、後付構成用発電連係リモコン138-N412型を使用の場合、利用不可。
※12 電力系統を介して家庭用燃料電池の発電電力を買い取る事業では日本初(2016年2月24日時点の大阪ガス調べ)。余剰電力買取の対象は、新製品(192-AS05型、192-AS06型)を使用し、大阪ガスとガス使用契約を締結している顧客が対象となる。なお、関連法令の規定により、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を適用する太陽光発電システム(出力が10kW以上かつ全量買取を適用する場合は除く)との併設時には、余剰電力買取は不可。余剰電力の買取単価は、当社ガス料金の原料費調整制度に基づく当該月の調整額を踏まえ、現時点では、次の算定式により決定し、買取単価は毎月変動する。
買取単価(円/kWh)=13.00±当該月の調整額×0.133 (小数点第3位以下は切り上げ、消費税込)
※13 給湯暖房システム:ガス給湯暖房機、ガス温水床暖房(リビング・ダイニング)、ミストサウナ機能付きガス温水浴室暖房乾燥機、ガスコンロ、電気エアコンを使用。
※14 給湯暖房システムの「ガス給湯暖房機」を「エネファームtype S」新製品に変えた場合の大阪ガス試算値(戸建4人家族想定)。
【適用料金】 「給湯暖房システム」
ガス:床暖料金スタンダードプラン(オプション割引9%)、電気:従量電灯A。
「エネファームtype S」
ガス:マイホーム発電料金(オプション割引9%)、電気:従量電灯A。
※ガス料金、電気料金はそれぞれ大阪ガス、関西電力の2015年5月の料金(税込)。電気料金の「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は2015年度時点。余剰電力の買取単価は2015年5月時点の調整額を適用した13.59円/kWh(税込)。
【CO2排出係数】ガス:2.29kg-CO2/m3(大阪ガスデータ)、電気:0.69kg-CO2/kWh(「中央環境審議会地球環境部会目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ」2001年7月より)
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