パナソニックが欧州で生成AIデータセンター向け液冷事業を開始!
2026年3月13日 (金曜) 14:58
欧州でCDUとフリークーリングチラーの受注を開始
パナソニック株式会社 空質空調社(以下、パナソニック)は、2026年3月4日、欧州市場で生成AIデータセンター向けの液冷システム事業を開始すると同時に、次の2つの装置の受注も開始した(図1)。
(1)液冷システムで冷却液を分配・循環させる装置「CDU」:
Coolant Distribution Unit、冷却液分配ユニット(以下、CDU)。冷却液を適切に各サーバラックへ分配・循環させる装置。一次側の冷却水と二次側の冷却液の間で熱交換を行う。
(2)冷却水を生成する装置「フリークーリングチラー」:
Free Cooling Chiller。外気温が低い場合に、圧縮機を動かさず外気を利用して冷却水の生成機能を備えた冷却装置。
図1 生成AIデータセンター向け液冷システムのイメージ
出所 パナソニック株式会社 Newsroom 2026年3月4日、「欧州で生成AIデータセンター向け液冷システム事業を開始」
冷却システムの省電力化と省スペース化が可能に
データセンターの冷却システムは、これまで、チラー(Chiller、冷却水循環装置)注1が生成する冷却水を用いて冷気を供給する「空冷方式」が主流であった。しかし、近年では、生成AI技術の処理に用いられるGPU(画像処理装置)チップの発熱量が増大しており、ハイパースケールデータセンター注2やコロケーションデータセンター注3を中心に、熱負荷の高い部位を効率的に冷やす液冷方式のニーズが高まっている。
パナソニックは2023年、空冷向けのCCU(Close Control Air-Conditioning Unit、精密空調機)を手がけるイタリアのテクネア社(Tecnair S.p.A)を買収し、欧州でのデータセンター向け冷却システム事業の基盤を強化してきたが、今回、チラーなどの冷却水を利用して熱交換し、冷却液を分配するCDUを開発した(図2)。
また、エッジデータセンター注4などの中・小規模施設向けに、同社初となるデータセンター用フリークーリングチラーも開発した。同チラーは、外気温が10℃以下の環境で、外気を利用して冷却水を生成するフリークーリング機能を搭載している。使用する冷媒には、GWP(地球温暖化係数)注5が1と極めて低い「R1234ze(E)」(地球温暖化への影響が少ない次世代型の環境配慮型の冷媒)を採用し、環境負荷の低減にも配慮した。
CDUは400kWと800kWの2機種、フリークーリングチラーは400kWと1200kWの2機種の受注を2026年3月4日に開始し、CDUの1200kW以上の機種についても2026年3月中に受注を開始する予定。
冷却効率の高い「液冷方式」を、既存の空冷方式のシステムと組み合わせたソリューションを提案することで省電力化が可能となり、さらに、同じ冷却能力を得るために必要なシステムの規模が縮小し、省スペース化も可能となる。
図2 データセンターにおける「空冷方式」(CCU)+「液冷方式」(CDU)のシステム構成イメージ(※ 熱濃度の高い部分は液で冷やし、部屋全体は空気で冷やす)
CCU:Close Control Air-Conditioning Unit、高機能な空調ユニット
CDU:Coolant Distribution Unit、冷却液分配ユニット
データホール:Data Hall。サーバやネットワーク機器を収納するITラックが設置される空間(サーバ室)
出所 パナソニック株式会社 Newsroom 2026年3月4日、「欧州で生成AIデータセンター向け液冷システム事業を開始」
注1 チラー:Chiller。建物内の空調機や製造設備に冷却水を供給するための大型冷却装置。
注2 ハイパースケールデータセンター:Hyperscale Data Center。クラウドサービスなどを提供する事業者の膨大な処理に対応するための大規模なデータセンター。
注3 コロケーションデータセンター:Colocation Data Center。企業が自社のサーバ機器を設置するためにスペースを借りる形態のデータセンター。
注4 エッジデータセンター:Edge Data Center。ネットワーク遅延を抑えるため、利用者の近接地点で稼働する中・小規模のデータセンター。
注5 GWP:Global Warming Potential、地球温暖化係数。CO2(二酸化炭素)を基準に、GHG(温室効果ガス)が温暖化を促進する程度を示す指標。



