日産自動車と住友商事は2018年3月26日、両社が共同出資して設立したフォーアールエナジーが、福島県双葉郡浪江町に電気自動車(EV)の使用済み蓄電池を再生させる工場を開設したと発表した。EVの使用済み蓄電池を再生させる工場は、これが日本初となる。
図 フォーアールエナジーが、福島県双葉郡浪江町に開設した蓄電池再生工場
出所 日産自動車
フォーアールエナジーは、2010年に日産自動車と住友商事が共同出資して設立した企業。日本で本格的にEVの販売が始まったのが2010年。2018年はEVの買い替えが本格化し、EVの使用済みリチウムイオン蓄電池の回収個数が大幅に増加すると見ているという。
図 日産自動車の初代「LEAF」。2010年12月に販売が始まった
出所 日産自動車
フォーアールエナジーは、使用済みのリチウムイオン蓄電池の性能を短時間で測定する技術を開発しており、今回開設した工場ではこの技術を活用して、全国から回収したリチウムイオン蓄電池の再利用と最製品化に取り組む。具体的には、車載用リチウムイオン蓄電池を再利用した大規模蓄電システムや、電動フォークリフト向け蓄電池パックなどを製造する予定だ。
また日産自動車は、この工場で再生したリチウムイオン蓄電池パックを同社のEV「LEAF」向けに低価格で提供するプログラムを開始する。まずは、初代LEAFが搭載していた蓄電容量24kWhの蓄電池パックを提供する。価格は30万円。今後は蓄電容量が異なる製品もラインナップに加えていく予定だ。
図 EVの使用済み蓄電池を再生して製品化したリチウムイオン蓄電池パック
出所 日産自動車
ちなみに、蓄電容量24kWhのリチウムイオン蓄電池パックを新品で購入すると、その価格は65万円。30kWhなら80万円、40kWhなら82万円だ。日産自動車が提供する再生プログラムを利用すれば、同じ蓄電容量の蓄電池パックを半額以下で入手できるということになる。