IoTデータ・ファブリック:データ処理技術

― 新IoT基盤「Cisco Kineticプラットフォーム」で展開―

IoTデータ・ファブリック:データ処理技術

 IoTネットワーク・ファブリックは、前述した課題1 のネットワーク接続などは解決できるものの、課題2課題4 に示したIoTデバイスからのデータの取得、その取得データの適切なアプリケーションへの移動、データのセキュリティ管理などの課題は解決できない(図1)。

 そこで、図1右下に示すIoT Data Fabric(IoTデータ・ファブリック:IoTデータを処理する技術)が必要となる。

 実際には、IoTネットワーク・ファブリックの上にIoTデータ・ファブリックを実現する「Cisco Kinetic」を重ね合わせ(オーバーレイ)、これによって、IoTデバイスからのデータを取得・処理して、データセンターなどにデータを移動させ、プライバシーやセキュリティ管理などの一連の作業を行うことが可能となる。

図1 依然として残る課題(4つの課題のうち3つの課題が残る)

図1 依然として残る課題(4つの課題のうち3つの課題が残る)

出所 ジャハンギール・モハメッド、「データの価値を解放するCisco IoT戦略」、2017年9月21日

新IoTプラットフォーム「Cisco Kinetic」使用例と仕組み

 前述したIoTデータ・ファブリックを実現するのが、シスコの新IoTプラットフォーム「Cisco Kinetic(シスコ・キネティック)」(2017年6月発表、日本国内は2017年内に提供開始)であり、前述したCisco JasperのIoTプラットフォームを補完するものとなっている。

 図2に、このCisco Kineticプラットフォームの使用例とその動作の仕組みを示す。

図2 Cisco Kinetic プラットフォームの使用例と動作の仕組み

図2 Cisco Kinetic プラットフォームの使用例と動作の仕組み

出所 ジャハンギール・モハメッド、「データの価値を解放するCisco IoT戦略」、2017年9月21日

 Cisco Kineticは、分散型ソフトウェアになっており、図2に示すセンサー、ゲートウェイからクラウドに至るまで、すべてでシームレスに実行され、システムの拡張も可能となっている。

 Cisco Kineticプラットフォーム上では、

  • ①システムを自動的にプロビジョニング(設定する)
  • ②セキュアにデータを取得して正規化(使用可能な形にする)
  • ③データ解析やルール注7の実行
  • ④システム全体でルールを実行(ビジネスロジックや運用ロジックなどを実行する)
  • ⑤データの可視化(どのようなデータかを見やすくする)
  • ⑥最適なアプリケーションに、最適なデータをセキュアに移動する

といった一連のデータフロー全体を管理できるようになっている。


▼ 注7
例えば、温度や湿度が設定値(しきい値)を超えた場合だけデータを送る、というようなルール(可能な限りデータを削減するルール)。

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