系統混雑の解消に蓄電池活用、中部電力パワーグリッドら

太陽光発電ピーク時に充電する実証を開始

インプレスSmartGridニューズレター編集部

13:20

系統混雑の解消に蓄電池を活用する実証開始

 中部電力パワーグリッド株式会社(以下、中部電力パワーグリッド)とミツウロコグリーンエネルギー株式会社(以下、ミツウロコグリーンエネルギー)は、再生可能エネルギー(再エネ)発電からの電力が配電用変電所注1の容量を超えて流れる「系統混雑」を解消するため、系統用蓄電池注2を活用する実証試験を2025年11月4日に開始した(図1)。同日に発表した。

図1 中部電力パワーグリッドとミツウロコグリーンエネルギーによる実証の概要

太陽光発電のピーク時に蓄電池へ充電

 中部電力パワーグリッドとミツウロコグリーンエネルギーの実証では、太陽光発電の発電電力量のピークを迎え、系統混雑が発生する日中の時間帯に、配電用変電所の運用容量(設備容量)を超過する太陽光発電の発電電力を系統用蓄電池に充電する(図2)。

図2 実証では、太陽光発電のピーク時間に系統用蓄電池を制御する

 中部電力パワーグリッドが系統混雑解消に必要な充電下限値を作成・指令し、ミツウロコグリーンエネルギーが指令に応じた充電スケジュールの作成と自社系統用蓄電池の制御を実行する。

 2025年11月4日から同12月5日の期間に実施し、系統混雑解消の実現性や課題を検証する。実証後には、実験で得たデータと知見を活用し、既存設備を最大限活用した再生可能エネルギーの普及拡大の可能性を検証する。

 中部電力パワーグリッドによると、再エネの普及が進む中で、配電用変電所をはじめとした電力系統では系統混雑が発生している。系統混雑が発生すると、設備容量不足や電圧上昇により、送電可能な電力量の減少などの影響が生じ、停電や電気機器の動作異常が発生する可能性がある。そのため、設備容量が不足し、系統混雑が予想される電力系統は、増強工事を実施する必要があるが、その工事には相応の期間とコスト負担が伴う。


注1:配電用変電所:発電所から送られてきた高い電圧の電力を、家庭や商業施設で使用できるように低い電圧に変換するための設備。
注2:系統用蓄電池:電力の需給バランスを調整するため、電力系統に直接接続される蓄電池。

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る
インプレスSmartGridニューズレター

定期購読は終了いたしました