「SIGFOX」によるLPWAサービスが日本でもスタート！

SIGFOXネットワークの主な適合分野と今後の展開

　また、IoT時代を迎え急速に普及するSIGFOXネットワークについて、主な適用分野の例を表5に、欧州におけるデバイスの導入事例を図9に示す。

表5　SIGFOXネットワークの主な適合分野とその内容

【1】スマート農業／環境分野
農業界は、圃場（ほじょう。田畑や農園）を監視し管理し、資源（金、時間、肥料）を最適化する新しい方法が求められている。そのソリューションの1つとして多数のセンサーが接続され利用される。この他、スマートな農業には、温度・湿度などの環境をより良く管理することや、センサー以外にもいろいろなソリューションやデバイスも含まれる。
SIGFOX対応94種類の製品が提供されている。

【2】スマート自動車分野
自動車業界では、SIGFOXによって、次のようなことが可能になる。
（1）自動車のセキュリティ＆トラッキング（追跡管理）
（2）自動車の監視〔室内温度・湿度やGPS（位置情報管理）等〕
（3）保険金の請求手続きの援助や自動車保険に関連する業務
（4）自動車のロックの管理など
SIGFOX対応65種類の製品が提供されている。

【3】健康（eヘルス）分野
高齢化社会を迎えて、人に装着し接続されたセンサーデバイスなどを利用した環境では、高齢者向けの介護システム、転倒検知システム、行動の追跡などの付加価値サービスの提供が可能となる。さらに家庭や病院などにある医療機器などとの連携も可能となる。
SIGFOX対応62種類の製品が提供されている。

【4】スマートホーム＆ライフスタイル分野
普及し始めているスマートホームは、IoTにおける主要な利用分野の1つであり、多くのB2Cデバイスとソリューションがこのカテゴリに入っている。例えば、家電機器の管理の他、GPSトラッカー（位置情報を利用して追跡し表示する装置）、ペット追跡ソリューション、さらに火災などに対応する煙感知器を含むすべての種類のスマートセキュリティシステムも含まれている。
SIGFOX対応74種類の製品が提供されている。

【5】スマート産業分野
国際的に注目を集めている第4次産業革命（インダストリー4.0等）の推進役である製造業などを含む産業部門はIoTの主要分野であり、多くの多様なセンサーが導入されている。SIGFOXによって、工場の機械の温度・湿度や稼働状態を監視することが可能となり、工場設備のセキュリティや現場作業員の安全性を守ることも可能となる。
SIGFOX対応98種類の製品が提供されている。

【6】公共分野
都市（スマートシティ）や地方自治体では、住民がいろいろなサービスにアクセスする方法を改善するために、新しいソリューションが求められている。例えば、スマートシティの道路などに設置される街灯の管理から公共の駐車管理、廃棄物管理、交通制御などである。
SIGFOX対応83種類の製品が提供されている。

【7】スマート小売分野
IoTは、小売サプライチェーン（小売製品の調達から、在庫管理、販売、配送までの流れ）の管理のほか、いろいろな大型ストレージセンター（倉庫）における資産（在庫）の管理などにも活用される。
SIGFOX対応58種類の製品が提供されている。

【8】ユーティリティ分野
本社から離れた場所にある工場の生産状況や水力発電所のダムの水位などのテレメータリング（遠隔測定）は、成熟した市場の1つであり、LPWA市場の例としてよく使用されている。 これらに加えて、最近では、電気・ガス・水道などのユーティリティ分野のスマートメーターの管理やそれらからのデータ収集、漏水検知など多様なニーズがある。
SIGFOX対応99種類の製品が提供されている。

出所　SIGFOX PARTNER NETWORK（2016年12月末時点）、https://partners.sigfox.com/をベースに編集部作成

　今後、日本のLPWA市場においては、KCCSに続いて3月にはソフトバンクからLoRaWANが、2017年度中にはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどからセルラー型のLPWAサービス（NB-IoT、eMTCなど）が提供される予定となっている。

　LPWAの市場競争が激化していく一方で、IoTビジネスが活性化していくことが期待される。