低GHG銅ケーブル、アマゾン物流拠点へ実装:三菱マテリアルらが実証開始

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年7月28日 (火曜) 9:27

企業横断バリューチェーンを構築し、1年間の実証試験に着手

 三菱マテリアル株式会社(以下、三菱マテリアル)は、オーストラリアの鉱業会社であるBHP(ビーエイチピー)、FCM株式会社(エフシーエム。以下、FCM)、NTTサーキュラスト株式会社(以下、NTTサーキュラスト)、株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)、三宝メタル販売株式会社(以下、三宝メタル販売)、泉州電業株式会社(以下、泉州電業)、弥栄電線株式会社(以下、弥栄電線)と共同で、原材料調達から最終利用までを一貫してつなぐバリューチェーンを構築。マスバランスクレジットモデル注1を適用した環境配慮型銅ケーブルの社会実装を目指す実証試験を実施している(図1)。実証試験は2026年4月に開始しており、約1年の期間実施する計画である。

図1 マスバランスクレジットモデルを適用した銅ケーブルの実証イメージ

出所 三菱マテリアル株式会社 ニュースリリース 2026年7月22日、「低GHG銅鉱石の環境価値を付与した銅ケーブルを物流拠点へ実装」

再エネ採掘の低GHG銅精鉱を加工し、アマゾンの物流拠点へ導入

 近年、脱炭素社会の実現に向けて、資源採掘から製造、使用、廃棄に至るバリューチェーン全体での温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量削減が急務となっている。

 銅製品においても採掘プロセスの脱炭素化が進む一方、複数企業や工程をまたぐ中で環境価値を適切に伝達し、最終製品へ反映することが課題になっていた。

 今回の実証試験は、下記の役割分担で展開される。

(1)原料調達:BHPグループが運営するチリのエスコンディーダ銅鉱山の銅精鉱注2を使用。同鉱山では、購入電力の100%を再生可能エネルギー(以下、再エネ)でまかなうことで、採掘・選鉱時のGHG排出量を大幅に削減。

(2)製錬・加工:三菱マテリアルが製錬し、銅荒引線(どうあらびきせん)注3へ加工。
(3)流通・製造:銅荒引線を、三宝メタル販売経由でFCMおよび弥栄電線へ供給し、環境配慮型銅ケーブルを製造。
(4)実装:泉州電業が上記銅ケーブルの販売を担い、新設されるアマゾンジャパン合同会社の物流拠点で電気配線として導入。

専用アプリで環境価値を追跡、透明性の高い管理・伝達体制を検証

 同取り組みにおける環境価値の管理には、三菱マテリアルが定めた「銅製品のマスバランスクレジットモデルガイドライン」注4を適用する。同モデルの運用には、製品に関するマスバランスに情報をバリューチェーンに関わる全企業、および最終消費者に正確に伝えることが不可欠となる。

 実証試験では、NTTサーキュラストとNTTデータが開発したアプリを活用し、トレーサビリティ注5を担保した透明性の高い情報伝達プロセスを構築するとともに、その有効性を検証する。

 今後、各社は実証試験を通じて社会実装に向けた課題を抽出し、持続可能な社会の実現へ繋げる。

 三菱マテリアルグループは、同実証を通じて環境価値の可視化や適切な管理・伝達に関する実務知見を蓄積し、関係各社とともに環境配慮型製品が社会実装される仕組みづくりを推進していく。

 一方、NTTサーキュラストは、バリューチェーン全体における環境価値情報のトレーサビリティ確保と、信頼性の高い伝達プロセスの構築を担当する。情報伝達プロセスの構築を担当する。さらに、関係各社と連携し、専用アプリケーションを用いた情報管理の有効性を検証し、社会実装に向けた基盤整備に貢献する構えだ。


注1 マスバランスクレジットモデル:Mass Balance Credit Model。原料の環境特性をクレジット化し、製品またはその一部に付与する手法。国際規格「ISO22095:2020」(Chain of custody — General terminology and models)で定義された5つのChain of Custody(チェーン・オブ・カストディ。管理・追跡プロセス)モデルの1つ。
注2 銅精鉱:銅鉱石を破砕・選鉱・濃縮して、銅品位を高めた原料。
注3 銅荒引線:高純度の電気銅を溶かし、棒状や線状に成型したもの。
注4 製品のマスバランスクレジットモデルガイドライン:三菱マテリアルが策定した運用ルール。第三者機関により国際規格「ISO22095:2020」と、2026年1月に発行されたISO 22095-2:2026」(Chain of custody Part 2: Requirements and guidelines for mass balance)への準拠が確認されている。
注5 トレーサビリティ:生産履歴。いつ、どこで、誰が、どのように作ったか、という履歴。


参考サイト

三菱マテリアル株式会社 ニュースリリース 2026年7月22日、「低GHG銅鉱石の環境価値を付与した銅ケーブルを物流拠点へ実装」
NTTサーキュラスト株式会社 ニュース 2026年7月22日、「低GHG銅鉱石の環境価値を付与した銅ケーブルを物流拠点へ実装」
 

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