ブロードバンドタワーとNTT東日本、1,000km超のDC間ストレージ統合に成功!:IOWNで性能低下3%

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年11月4日 (水曜) 16:56

1,000km離れた2拠点を単一ストレージ化:性能低下約3%、遅延差1秒未満を実現

 データセンターやクラウド、ストレージ(データの格納場所)のサービスを手がける株式会社ブロードバンドタワー(以下、ブロードバンドタワー)とNTT東日本株式会社(以下、NTT東日本)は2026年10月27日、次世代通信基盤「IOWN APN」注1を使い、東京と北海道の1,000kmを超えるデータセンター拠点間でストレージを統合する共同実証に成功したと発表した。
 実証では、ブロードバンドタワーの新大手町サイト(東京・大手町)とNTT東日本の札幌東局(札幌市)を100GbpsのIOWN APN回線で結び、両拠点に設置した、デル・テクノロジーズ(Dell Technologies、以下、デル)のストレージ装置「 PowerScale F200」(写真1、各3台)を1つのストレージとして動かした(図1)。
 AIの学習・推論や映像処理を想定し、遠隔拠点から大容量ファイルを読み出したところ、同一拠点で構成した場合と比べて速度の低下は約3%、時間の差は1秒未満にとどまった(表1)。
 また、通常はストレージと同じ拠点に置くランサムウェア注2対策ソフトウェアの監視サーバを東京に集約し、疑似攻撃を行ったところ、東京と北海道の両拠点とも正常に検知・防御できた。
 これによって利用者は、データの保存場所を意識せずに、最寄りの拠点からストレージにアクセスできるようになる。拠点間でデータを移す手間が減り、バックアップやランサムウェア対策も1つのシステムで管理できる。

写真1 デルのストレージ装置「PowerScale F200」の外観

表1 主な共同実証の実証結果

図1 東京と北海道のデータセンター拠点間の実証イメージ

再エネ100%の「石狩新港サイト」で実用性能を証明 

 ブロードバンドタワーは2026年9月、北海道石狩市で「石狩新港サイト」の運営を開始している。同サイトは再エネ100%の電力を利用するほか、通信面においてはNTT東日本が提供するIOWN APNを活用し、東京・大手町と直結している。これらによって、「環境性能」「事業継続性」「実用性能」を兼ね備えた高度なAI基盤の実現を目指している。
 今回の実証は、このうちの実用性能が確認されたかたちだ。両社は参考値として、新大手町~石狩新港間の商用回線の測定結果も公表しており、遅延は片道6.38ms、ゆらぎ注3は13ns未満と、実証回線と同等以上だった。ブロードバンドタワーは今後、石狩新港サイトをはじめ全国の拠点をつなぐストレージシステムの実現を検討する。

ワット・ビット連携によるDC地方分散を加速

 一方、経済産業省と総務省は、電力(ワット)と通信(ビット)のインフラを一体で整備する「ワット・ビット連携」注4を進めている。東京圏・大阪圏に集積するデータセンターを分散させ、長期的には1カ所あたりギガワット級となる新たな集積拠点を複数造成する方針だ。複数の地点に置いたデータセンターを低遅延・高品質に接続する技術として、APNの整備も掲げている。
 ただそのためには、データセンターのある地方とデータを利用する都市部とを、高速・高品質に結ぶ新たな通信インフラが必要となる。特にストレージは機器同士が密に連携して動くため、遅延とゆらぎに敏感で、ストレージを遠距離の拠点に分けて置くことは難しかった。
 今回の実証は、この制約を1,000km超の距離で越えられることを示したことになる。「AI関連の処理データ等」を電力の豊富な地方に置き、首都圏から距離を意識せずに使えるようになれば(ワークロードシフト)、ワット・ビット連携が目指す地方分散が加速しそうだ。


注1 IOWN APN:IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)は、NTTグループが推進する次世代通信基盤構想。「大容量」「低遅延」「低消費電力」の通信を実現する。APN(All-Photonics Network)はその中核となる全光ネットワーク。
注2 ランサムウェア:Ransomware。「Ransom」(身代金 ) と「Software」(ソフトウェア )を組み合わせた造語。感染したサーバやPC内のデータを暗号化したり、システムをロックして使用不能にし、その復旧と引き換えに身代金を要求する悪意のあるプログラム(マルウェア)の一種。
注3 ゆらぎ:ジッタ(Jitter)。 通信パケットが届くまでの遅延時間のバラつきや変動のこと。ストレージは機器同士が密に連携して動くため、遅延の大きさに加え、その変動が性能や安定性を左右する。
注4 ワット・ビット連携: 送電線新設のコストを抑えるため、「電気を都市へ送る」のではなく「データを光通信で地方へ送り、豊富な再エネ等で計算処理する(ワークロードシフト)」国の施策。経産省・総務省主導でDCの地方分散を推進しており、2026年度から全国7件の社会実証が始動している。関連書籍はこちら

参考サイト

2社共通ニュースリリース、出所 NTT東日本株式会社 報道発表資料 2026年10月27日、『次世代通信基盤「IOWN APN」を活用し、東京~北海道データセンター間1,000km超のストレージ統合実証に成功~遠隔地でも同一拠点と同等の読み出し性能によりAIワークロードや映像処理を実現、データセンターの地方分散へ~』
・NTT東日本株式会社
・株式会社ブロードバンドタワー

3社共通ニュースリリース、「GMOインターネット、東急不動産とブロードバンドタワーが担う、北海道・石狩の再エネ100%データセンターで『GMO GPUクラウド』の新拠点を開設~渋谷からGX最先端の石狩へ、2026年内の稼働開始を目指す~」
・GMOインターネット株式会社
・東急不動産株式会社
・株式会社ブロードバンドタワー

経済産業省 ニュースリリース 2025年6月12日、 「『ワット・ビット連携官民懇談会取りまとめ1.0』を公表します」

参考書籍、『ワット・ビット連携データセンター 2025-2026 ―AI時代に多様化・分散化するデータセンター新時代―』

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