フィジカルAI、日本の「勝ち筋」はどこにあるか:富士通・ロボット3社・NVIDIAの5社が描く新戦略構想
2026年8月13日 (木曜) 17:48
2026年7月16日、富士通株式会社(以下、富士通)は、産業用ロボットで世界に知られるファナック株式会社(以下、ファナック)、株式会社安川電機(以下、安川電機)、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工業)の3社、そして半導体大手の米NVIDIAと「フィジカルAI」分野での新たな事業構想を発表した(写真1、写真2、図1参照)。
現場でロボットが自律動作する本技術の開発にあたり、富士通とロボット3社が提携しNVIDIAの技術を活用する。主導権を握る「ソブリン(主権)性」の確保も併せて掲げた。産業界の新たなテーマとして躍り出たフィジカルAI、そして世界的な企業による新構想の意義を読み解く。
写真1 富士通の「メディアブリーフィング:フィジカルAI分野における事業検討開始会見」で発言する各社代表者(NVIDIA、富士通、ファナック)
写真2 富士通の「メディアブリーフィング:フィジカルAI分野における事業検討開始会見」で発言する各社代表者(安川電機、川崎重工業)
出所 編集部撮影
図1 富士通を中心としたフィジカルAIの事業構想
出所 富士通株式会社プレスリリース(2026年7月16日)、および各社Webサイトの情報をもとに編集部で作成
富士通のフィジカルAI構想の全体像
〔1〕ロボット大手3社が目指すそれぞれの到達点
ファナック、安川電機、川崎重工業は、いずれも日本を代表する産業用ロボットの主要メーカーであり、それぞれの領域で独自の事業展開を行っている(表1)。
表1 ロボット3社の強みと今回目指す到達点
〔2〕ファナック:生産活動全体の最適化と自律化
ファナックは、CNC(Computer Numerical Control、コンピュータによる数値制御)とサーボ技術(指令に対して、忠実に追従するよう制御されたモーターや駆動システム)に根ざした精密なモーション制御(動きを制御)を強みとする。近年は、ロボット向けのソフトウェア開発フレームワークROS 2(ロス・ツー。Robot Operating System 2)に対応したオープンなロボット開発を展開し、その基盤ソフトを2025年にオープンソース化した。
今回の富士通との取り組みでは工場を対象とし、生産計画から製造実行、品質管理、保守運用に至るまで、生産活動全体の最適化と自律化をめざす。同社は「柔軟で誰にでも使えるAIシステム」を現場に投入し、人手不足の解決につなげることを掲げている。



