AIデータセンター向けバッテリーを国内で量産、ソフトバンクが新事業

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年5月12日 (火曜) 12:54

バッテリーセルやBESSを国内で開発・製造へ

 ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、バッテリーセルや蓄電システム(BESS:Battery Energy Storage System)を国内で開発・製造するバッテリー事業を開始した(図1)。2028年度をめどに年間ギガワット時(GWh)規模の生産を目指す。AIの普及にともない急拡大する電力需要を賄う次世代電力インフラの構築につなげるという。2026年5月11日に発表した。

図1 国産バッテリー事業のイメージ

出所 ソフトバンク株式会社 プレスリリース 2026年5月11日、「AI時代を支える次世代電力インフラの構築に向けて、ギガワット時規模の国産バッテリー事業を開始」

2030年度に売上1000億円へ

 ソフトバンクは、大阪府堺市にあるシャープ株式会社の工場跡地にAIデータセンターと製造拠点「GXファクトリー」を構築する注1。同拠点で、2027年度にバッテリーセルとBESSの製造を開始し、2028年度をめどに年間GWh規模の量産体制を確立する計画である。

 バッテリーセルについては、韓国のCOSMOS LABと協業する(図2)。同社と共同開発するバッテリーセルは、正極にハロゲン化物、負極に亜鉛を採用する。充放電時のエネルギーロスが少なく、エネルギー効率がリチウムイオンバッテリーと同等以上だとしている。

図2 バッテリーセルの技術特性のイメージ

出所 ソフトバンク株式会社 プレスリリース 2026年5月11日、「AI時代を支える次世代電力インフラの構築に向けて、ギガワット時規模の国産バッテリー事業を開始」

 電解液に真水を使用しており、可燃性の有機電解液を用いる従来のリチウムイオンバッテリーが抱える発火リスクを原理的に解決できるとする(図3)。また、主要原材料であるハロゲン化物や亜鉛は日本国内での調達が可能であるため、サプライチェーンの強靭化にも寄与するとしている。

図3 バッテリーセルでは、電解液に真水を使用する

出所 ソフトバンク株式会社 プレスリリース 2026年5月11日、「AI時代を支える次世代電力インフラの構築に向けて、ギガワット時規模の国産バッテリー事業を開始」

 なお、商用展開されている水電解液を用いた「亜鉛-ハロゲン」バッテリーセルで、リチウムイオンバッテリー相当の高エネルギー密度に達する製品は世界初だという。

 BESSの開発・製造では、韓国のDeltaXと協業する。DeltaXが保有するCCS(Cell Connecting System)設計注2とCTP(Cell to Pack)技術注3を採用することで、部品点数を削減するほか、筐体内の無効スペースを削減する。これにより、バッテリーセルの性能を最大限に引き出す。リチウムイオンバッテリーによる標準的なコンテナ型BESSでは5.37MWhの蓄電容量を実現しており、開発中のバッテリーセルに適用して同等以上の蓄電容量を目指す。

 また、同システムには、独自の電力需要予測機能を搭載したエネルギーマネジメントシステム(EMS)を組み込む。これにより、充放電の制御を最適化し、電力需要や再生可能エネルギーの発電状況に応じた効率的かつ安定的な運用につなげるとしている。

 製造するバッテリーは、構築を進める自社の大規模AIデータセンターに導入するほか、国内の電力系統向けや産業向け、家庭向けにも順次提供する予定だ。中期的には、グローバル市場への展開も視野に入れる。2030年度にバッテリー事業で1000億円以上の売上規模を目指す。


注1:GXファクトリー:ソフトバンクは、シャープ工場跡地にAIデータセンターを中心とする産業集積地を構築する。GXファクトリーではバッテリーや太陽光パネルなどを製造し、併設するAXファクトリーはAIデータセンターの機能とAIインフラ関連のハードウエアの製造を担う。
注2:CCS(Cell Connecting System)設計:多数のバッテリーセルを高効率かつ高い安全性で接続し、電池性能を最大限に引き出す設計技術。
注3:CTP(Cell to Pack)技術:セルのモジュール化を行わずに直接パック化するなどの独自工法により、部品点数の削減や筐体内の無効スペースを削減し、高エネルギー密度と軽量化、低コスト化を実現する技術。

参考サイト

ソフトバンク株式会社 プレスリリース 2026年5月11日、「AI時代を支える次世代電力インフラの構築に向けて、ギガワット時規模の国産バッテリー事業を開始」

人気記事トップ10

人気記事ランキングをもっと見る
インプレスSmartGridニューズレター

定期購読は終了いたしました