製鉄・火力発電排出のCO2を海外貯留へ、大阪ガスと神戸製鋼所が調査
2026年4月28日 (火曜) 15:09
関西起点のCCSを初期調査
大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)と株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼所)は、関西エリアの製鉄・火力発電分野から排出される二酸化炭素(CO2)を海外に貯留するCCS(二酸化炭素の回収・貯留)注1に向けた初期調査を完了した。CO2の回収から海外での地層貯留に至るバリューチェーンの全体構成と、コストや制度面などの主要課題を整理した。両社が2026年4月24日に発表した。
図1 関西エリアを起点としたCCSバリューチェーンのイメージ
出所 大阪ガス株式会社 プレスリリース 2026年4月24日、「関西エリアにおける製鉄・火力発電分野向け大規模CCSに関する共同検討」
技術的成立性やコスト・バリューチェーン構築を検証
大阪ガスは、2023年5月からShell Singapore Pte. Ltd.(以下、シェル)と共同で、国内工場などのCO2排出源からCO2を回収し、海外の地層に貯留することを目指すCCSバリューチェーン構築の検討を進めてきた。また、同社は泉北天然ガス発電所(大阪府)の排ガス中のCO2を活用したCCU(二酸化炭素の回収・利活用)注2やCCSの実装についても検討を行っている。
こうした取り組みを背景に、大阪ガスと神戸製鋼所は、2025年6月から2026年3月にかけ、シェルと共同で、神戸製鋼所の加古川製鉄所(兵庫県)を対象とした初期調査を実施した。同調査では、製鉄所からのCO2回収をはじめ、液化、貯蔵、出荷、船舶輸送、および海外での恒久的な地層貯留に至るまでの一連の工程について、初期的な事業性を評価した。輸送工程においては、前述の泉北天然ガス発電所から排出されるCO2との共同輸送の可能性も検討している。
本調査を通じて、加古川製鉄所におけるCO2の回収から貯留に至る各工程の技術的成立性を検証した。さらに、各工程における概算コストや関連する制度面の論点を整理し、海外での地層貯留を想定したバリューチェーン構築に関する総合的な評価を実施した。
これらの分析結果を踏まえ、一定の想定条件の下で関西エリアを起点としたCCSバリューチェーンの基本構成を構築した。同時に、導入コストの低減、政策的支援の必要性、関連する規制や制度の整備、および関係者間の円滑な連携といった、今後の実用化に向けた主要な課題を整理した。
今後、両社は、中長期的な視点でCCSの可能性について検討を継続する。
大阪ガスによると、排出削減が困難な分野(Hard-to-Abate分野)注3や火力発電分野では、単一の手法ではなく複数の削減手段を組み合わせることが求められている。この中長期的な排出削減に寄与する有力な技術の1つとして、CCSの検討が国内外で進んでいる。
注1:CCS(二酸化炭素の回収・貯留):Carbon Capture and Storage。産業活動や発電に伴って排出されるCO2を回収し、地中深くの安定した地層に貯留する技術。
注2:CCU(二酸化炭素の回収・利活用):Carbon Capture and Utilization。回収したCO2を新たな製品や化学物質、燃料などの製造プロセスに再利用する技術。
注3:Hard-to-Abate分野:製造プロセスなどの特性上、電化や水素燃料への転換だけでは二酸化炭素(CO2)の排出削減が技術的または経済的に困難な産業分野。
参考サイト
大阪ガス株式会社 プレスリリース 2026年4月24日、「関西エリアにおける製鉄・火力発電分野向け大規模CCSに関する共同検討」
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