脱ナフサ依存へ、使用済み繊維から原料を製造 JEPLANなど3社

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2026年4月23日 (木曜) 10:46

繊維廃棄物から衣料品や生地、糸の原料を製造

 ケミカルリサイクル事業を手掛ける株式会社JEPLAN(以下、JEPLAN)は、仏のエネルギー研究機関であるIFP Energies nouvelles(以下、IFPEN)、その関連会社であるAxensと、従来はナフサ注1から製造されていたモノマーを使用済みのポリエステル繊維廃棄物から100%再生し、製造することに成功した。従来は99%が廃棄されていた使用済みの繊維廃棄物を、衣料品や生地、糸の原料に再生して循環させる。2026年4月22日に発表した。

図1 北九州響灘工場の準商用設備のイメージ

出所 株式会社JEPLAN ニュース 2026年4月22日、「JEPLAN、Axens、IFPEN、 「繊維 to 繊維」リサイクルプロセスを商用規模で実証」

ナフサなどの化石資源をリサイクル原料に代替

 今回の実証実験は、実際の商用稼働の条件を想定し、JEPLANの北九州響灘工場内にある生産能力が年間1000トンの準商用設備で実施した。フランスの公共回収システムで集めた数十トンの繊維製品を現地のパートナー企業が選別・前処理し、それを原料として使用した。ポリエステルのモノマーであるBHET(ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート)注2を数十トン規模で製造することに成功した。

 製造した再生モノマーは、ポリエステル糸や生地、衣料品へと再加工する予定だ。具体的には、ポリエステルの主要消費分野であるスポーツウェアやアウトドア分野をはじめ、椅子張り用生地やカーテンなどのインテリア分野、特定のラグジュアリー分野への展開を見込む。

 製造には、ケミカルリサイクル技術「Rewind PET注3」のプロセスを活用した。同技術は、グリコリシスを活用してPETを解重合し、種々の添加剤や着色料を分離して高純度なBHETモノマーに再生する。これにより、既存技術では困難だった繊維をはじめ、色付きのボトルや不透明なボトル、多層トレイ、包装フィルム、ポリエステルなどのリサイクルを可能にするという。

 さらに、従来、ポリエステルのモノマーは石油精製過程で得られるナフサなどの化石資源から製造されるのが一般的であるが、これをリサイクル原料に置き換えることで、バージン原料の使用量を削減できる。さらに、製品ライフサイクルの延長、リサイクル工程の短縮が可能だとする。

 3社が共同で開発し、商用展開に向けた技術ライセンスをAxensに供与している。PET包装材の用途ではすでに商用化している。

 今後、繊維から原料を生成し、それをもとに繊維を再生する「繊維to繊維」の取り組みを進める繊維メーカーに対し、AxensがRewind PETの提供を進める。

 JEPLANによると、世界の繊維生産量においてポリエステルなどの合成繊維が約60%を占める一方で、実際に繊維から繊維へとリサイクルされた原料に由来するものは1%未満にとどまっている注4


注1 ナフサ:原油を蒸留して得られる粗製ガソリンで、プラスチックや合成繊維など石油化学製品の基礎原料となる。
注2 BHET(ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート):Bis(2‑hydroxyethyl) Terephthalate。PETを製造する際の中間原料となるモノマー。
注3 Rewind PET:PETを主成分とする使用済みの繊維廃棄物やPET包装材を対象としたケミカルリサイクル技術。
注4 世界の繊維リサイクル率:Textile Exchangeが発行する「Materials Market Report」に基づくデータ。

参考サイト

株式会社JEPLAN ニュース 2026年4月22日、「JEPLAN、Axens、IFPEN、 「繊維 to 繊維」リサイクルプロセスを商用規模で実証」

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