系統用蓄電池の収益・寿命を両立、中国電力・旭化成がシステム開発
2026年4月23日 (木曜) 17:10
資産価値を最大化する蓄電池運用最適化システムを開発へ
中国電力株式会社(以下、中国電力)と旭化成株式会社(以下、旭化成)は、系統用蓄電池の運用を最適化するためのシステムの共同開発に乗り出す(図1)。電力市場での収益性に加え、電池寿命を予測して充放電を計画することで、蓄電池の長期的な資産価値を最大化するのが狙いだ。2026年度から2029年度の最大4年間で共同開発と実証試験を進め、商用化を目指す。2026年4月23日に発表した。
図1 蓄電池運用最適化システムの概要
出所 旭化成株式会社 ニュース 2026年4月23日、「蓄電池運用最適化システムの共同開発について」
2028年度以降に下松蓄電所へ実装
共同開発する蓄電池運用最適化システムは、運転条件、電池の状態、需給調整市場注1や卸電力取引市場注2の価格、電力需要予測という4つの情報を解析し、市場収入と電池劣化の両方を考慮した計画を作成する。これを、入札や運用計画の提出、蓄電池の制御を統合管理する需給管理システムに送信する。
電力市場取引によって得られる利益と、充放電の繰り返しによる蓄電池の劣化が将来的な収益性に与える影響を総合的に評価し、市場への放電をコントロールすることで、収益を長期的な視点で最大化するとしている。
開発にあたり、旭化成は、電池開発やセパレータ事業で蓄積されたリチウムイオン電池の知見と、電池劣化診断・予測技術を基に、充放電計画を立案するシステムを開発・実装する。中国電力は、電力事業の実務経験や電力需給運用、市場取引の知見を提供し、実証フィールドにおける運用条件の整理や評価を担う。
2026年に研究を開始し、2027年度の小規模実証を経て、2028年度以降には中国電力の下松蓄電所(山口県下松市)へ実装する計画だ(図2)。
図2 開発スケジュール
出所 旭化成株式会社 ニュース 2026年4月23日、「蓄電池運用最適化システムの共同開発について」
本実証を通じ、中国電力は、系統用蓄電池事業の収益性向上やアグリゲーションビジネス注3の展開を図る。旭化成は、運用データを継続的にフィードバックすることで素材開発・製品提案の高度化を目指すほか、北米を含むグローバル展開の可能性も模索し、中長期的な事業成長へとつなげる方針だ。
注1 需給調整市場:電力系統の周波数を維持するための調整力を取引する市場。
注2 卸電力取引市場:発電事業者等が電力量を売買する日本卸電力取引所などの市場。
注3 アグリゲーションビジネス:分散した蓄電池などを統合制御し、ひとつの発電所のように機能させる事業。



