LNG燃料を船から船へ直接供給、大阪ガスが開始
2026年5月14日 (木曜) 13:02
大阪ガス初の「Ship to Ship方式」を実施
大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)は、燃料供給(バンカリング)用の船をLNG燃料船に横付けし、直接燃料を供給する「Ship to Ship方式」を、2026年4月21日にJFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)の西日本製鉄所(広島県福山市)で開始した(図1)。同方式は同社初だという。これにより、船舶向けLNGバンカリングの主要3方式すべてに対応した。2026年5月14日に発表した。
図1 LNGバンカリング船「SETO AZURE」によるShip to Ship方式でのLNG燃料供給の様子
出所 大阪ガス株式会社 ニュース 2026年5月14日、「Ship to Ship方式による船舶向けLNG燃料供給(LNGバンカリング)を開始」
より柔軟で安定したLNG燃料供給へ
Ship to Ship方式は、燃料供給を受ける船舶が岸壁に着いていない場合や、錨を下ろして停泊している場所でも対応でき、供給できる場所やタイミングの自由度が高い。また、貨物の積み降ろし作業と並行して燃料を補給できることから、LNG燃料船の運航に影響を与えない(図2)。
図2 Ship to Ship方式によるバンカリング事業イメージ
出所 大阪ガス株式会社 ニュース 2026年5月14日、「Ship to Ship方式による船舶向けLNG燃料供給(LNGバンカリング)を開始」
今回、大阪ガスはShip to Ship方式を開始したことにより、岸壁に停泊したタンクローリーから供給する「Truck to Ship方式」、陸上のLNGターミナルから直接供給する「Shore to Ship方式」という、主要3方式すべてに対応した(図3)。積み降ろし作業の状況や寄港地の設備、港の条件などに応じて最適な方式を選べる体制が整ったことで、より柔軟で安定したLNG燃料供給を進めていくという。
図3 LNGバンカリング3方式の概要
出所 大阪ガス株式会社 ニュース 2026年5月14日、「Ship to Ship方式による船舶向けLNG燃料供給(LNGバンカリング)を開始」
LNGバンカリング船には、同社の関係会社である大阪湾LNGシッピング株式会社が保有する「SETO AZURE(セト アズール)」を使用する。同船は全長86.29m、総トン数約4350トンで、約3610m3のLNGタンク容量を持つ。電気推進(LNGと重油のデュアルフューエルエンジン)を採用し、バンカリング船自体の環境性能にも配慮されている。大阪湾や瀬戸内エリアを中心に運航する計画だ。
今後は、船舶向けLNG燃料供給の高度化とともに、e-メタン注1の社会実装を見据えた取り組みを進める。
LNG燃料は、重油と比べてCO2排出量を約30%削減できることから、環境負荷を抑えた船舶燃料として注目されている。ノルウェー海事協会(DNV)の予測によれば、世界のLNG燃料船は2030年に1271隻まで増加する見通しである。しかし、大阪ガスによると、日本国内では、LNG燃料を船舶へ安定的に供給するための設備や体制は、まだ十分に整っていなかった。LNG燃料船の普及を支えるためには、船の大きさや運航ルート、寄港地の状況などに応じ、柔軟に燃料を供給するための体制が不可欠である。
注1:e-メタン:グリーン水素などとCO2を合成して製造される合成メタン。実質的にCO₂を排出しない、カーボンニュートラルな燃料として期待されている。
参考サイト
大阪ガス株式会社 ニュース 2026年5月14日、「Ship to Ship方式による船舶向けLNG燃料供給(LNGバンカリング)を開始」



