NTTなど5者、800億円規模の「IOWN AI Fund」を組成
2026年6月12日 (金曜) 18:33
投資ファンド「IOWN AI Fund」を組成
NTT株式会社(以下、NTT)、ディープテック専門ベンチャーキャピタルの米Walden Catalyst Venturesの共同創業者 兼 Founding Managing PartnerであるYoung Sohn(ヤン・ソン)氏、韓国のSK Group(以下、SK)、中国の中華電信股份有限公司(以下、中華電信)、株式会社日本政策投資銀行(以下、日本政策投資銀行)の5者は、投資ファンド「IOWN AI Fund」を2026年6月に組成する(図1)。NTTが提唱する次世代情報通信基盤「IOWN」(Innovative Optical & Wireless Network、アイオン)のエコシステム構築と事業創出につなげるのが狙い。ファンドの規模は約800億円を見込んでおり、年内の資金調達の締め切りを予定している。2026年6月10日に発表した。
図1 「IOWN AI Fund」の体制
ファンド運営:Catalight Capital株式会社の米国子会社としてCatalight Capital US, LLCを設立し、IOWN AI Fundに対する投資助言を行う。
出所 NTT株式会社 ニュースリリース 2026年6月10日、「グローバルのイノベーションを結集し、IOWNエコシステムを構築する『IOWN AI Fund』を組成」、「IOWNファンドの設立について」(IOWN AI Fund / Catalight Capital, Connecting global innovation to the IOWN ecosystem.)
IOWNエコシステムで事業創出と次世代AIインフラ・産業基盤を形成
IOWNは、機器間だけでなくデバイス内までを光で接続する「光電融合デバイス」(PEC)注1と、光の波長パスで拠点間を接続する「APN」(All-Photonics Network)注2によって、低消費電力(電力効率100倍)、大容量・高品質(伝送容量125倍)、低遅延(1/200倍)の通信を可能にする構想。NTTが2019年5月に発表して以来、研究開発を進めている。
7分野への投資を対象とする「IOWN AI Fund」
今回、5者が設立したIOWN AI Fundは、図2に示すIOWN関連技術を中核に、次の7分野に投資する。
(1)フォトニクス技術
(2)AI向け半導体・パッケージング
(3)光デバイス・光電融合モジュール
(4)分散型AI基盤制御
(5)ソフトウェア
(6)AIモデル・推論
(7)アプリケーション・サービス
7分野の多層的なレイヤを有機的に結びつけることによってIOWNエコシステムを形成し、新たな事業創出を推進するとともに、次世代のAIインフラと産業基盤の形成につなげる。ここでいうIOWNエコシステムとは、NTTが提唱する「光技術」を活用した次世代通信インフラを、多様なパートナー企業や研究機関と連携して研究開発から社会実装まで推進する枠組みのことである。
図2 IOWN関連技術を中核に7分野に投資
投資対象は、シリコンバレーをはじめとする北米、アジア、欧州の企業。主に安定した収益が見込めるミドルステージ(中堅期)を中心に、アーリー(初期段階)からグロース(拡大段階)まで、複数の成長段階にある企業を幅広く対象としている。
出資参加企業は20社超え、AIネイティブのインフラ実現へ
すでに国内外20社以上が出資参加予定(図3)であり、Young Sohn氏をはじめ、光・半導体関連企業への投資や事業開発の知見をもつメンバーが参画することで、有望企業の発掘や資金提供にとどまらず、投資先企業の技術評価、事業連携、顧客接点の形成、事業開発支援なども視野に活動する(図3)。
図3 「IOWN AI Fund」出資参加に関心を示している企業一覧(2026年6月時点)
IOWN AI Fundの組成に合わせ、その運営会社として東京と米国シリコンバレーを拠点にするCatalight Capital株式会社(以下、Catalight Capital)を設立する(前出の図1左側参照)。
今後、IOWN AI Fundは、出資者と投資先企業の間で、サービスや製品といった事業開発や販売協力などの協業を進め、新事業のエコシステムを構築する。
NTTの代表取締役社長 島田 明 氏は、「AIネイティブインフラの実現には、NTTが培ってきた光・ネットワーク技術に加え、世界中の先端技術やパートナーの力と結びつくことが不可欠である。IOWN AI Fundを通じて、有望なスタートアップとの事業連携を推進し、グローバルなパートナーとともにIOWNエコシステムを構築し、新たな産業基盤を創出する」と述べる。
注1:光電融合デバイス:PEC(Photonics Electronics convergence devices)。電気信号を扱う回路と、光信号を扱う回路の2つを融合する技術。
注2:APN:All-Photonics Network、オールフォトニクス・ネットワーク。IOWNを構成する主要技術。ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入構築する。
参考サイト
NTT株式会社 ニュースリリース 2026年6月10日、「グローバルのイノベーションを結集し、IOWNエコシステムを構築する『IOWN AI Fund』を組成」



