パシフィックコンサル、ペロブスカイト太陽電池実証が完了:堤防法面での有効性を確認
2026年7月24日 (金曜) 19:03
愛知県の堤防法面でペロブスカイト発電の実証を完了
建設コンサルタントのパシフィックコンサルタンツ株式会社(以下、パシフィックコンサルタンツ。本社:東京都千代田区)は、菱池(ひしいけ)遊水地(愛知県額田郡幸田町)で実施していた堤防法面注1での太陽光発電設備の実証実験を完了したと、2026年7月21日に発表した。
同実証は2025年7月1日~2026年3月20日の約8カ月間行われ、「ペロブスカイト太陽電池」注2と「シリコン太陽電池」の2種類のモジュール(セルの複合体)を組み込んだ法面ブロックを設置(図1、写真1)。発電性能、設備の健全性、維持管理性、防草効果についての検証を実施した。
その結果、堤防機能や日常の維持管理に大きな支障をきたすことなく発電が可能であり、水インフラ空間を活用した再生可能エネルギー(以下、再エネ)導入手法として極めて有効であることを確認した。
図1 実証における太陽光発電設備の設置イメージ
出所 パシフィックコンサルタンツ株式会社 ニュース 2026年7月21日、「菱池遊水地(愛知県額田郡)でのペロブスカイト等を使用した太陽光実証実験を完了しました」
写真1 菱池遊水地に設置した太陽光発電ブロックの外観
出所 パシフィックコンサルタンツ株式会社 ニュース 2026年7月21日、「菱池遊水地(愛知県額田郡)でのペロブスカイト等を使用した太陽光実証実験を完了しました」
猛暑下でも安定稼働:堤防機能の維持と「防草効果」によるコスト削減を確認
今回の実証は、環境省の「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」注3および、愛知県の「矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト」注4の一環として、菱池遊水地で実施された。
実証では、実施期間を通じて安定した発電状況を確認した。名古屋市で猛暑日が52日を記録した夏季においても、太陽電池モジュールに顕著な劣化は見られなかった。また、発電電力量は事前のシミュレーションと同等の結果となり、堤防法面でも想定通りの発電性能が得られた。
実証期間中は一貫して安定した発電状態を確認。名古屋市で猛暑日が52日を記録した2025年夏の過酷な環境下においても、太陽電池モジュールの顕著な劣化は見られず、事前のシミュレーションと同等の想定通りの発電性能が得られた。
太陽電池モジュールの表面への汚れの付着は見られたものの、法面ブロック本体や配線などの劣化や漏電は発生せず、堤防の断面形状もそのまま維持された。これによって、堤防本来の防災機能を損なうことなく発電設備を安全に設置・運用できることが証明された。
さらに、太陽電池モジュールを設置したエリアでは、周辺と比較して雑草の繁茂(はんも)が抑制された。この結果、除草作業の負担軽減や維持管理コストの削減につながる可能性が示され、発電機能のみならずインフラ管理の効率化にも寄与する多角的な効果を実証した。
配線内蔵ブロックで安全性を確保、農地やダム等池への展開も視野に
同実証では、堤防機能を保持しつつ安全性を高めるため、太陽電池モジュールと法面ブロックを一体化させ、配線をブロック内部へ収納する構造を採用した(図2)。これによって、感電・漏電対策や維持管理性を高めるとともに、低炭素コンクリートをブロック素材に使用して環境負荷の低減も図った。
図2 感電・漏電対策として法面ブロック内部に配線を収納した構造
出所 パシフィックコンサルタンツ株式会社 ニュース 2026年7月21日、「菱池遊水地(愛知県額田郡)でのペロブスカイト等を使用した太陽光実証実験を完了しました」
パシフィックコンサルタンツは今回の結果を踏まえ、太陽光発電設備を農地や公共施設の法面への展開を進めるととともに社会実装を加速させる。将来的には、ダム貯水池など他の水インフラ空間における空間活用や再エネ展開も視野に検討を進めていく構えだ。
注1 堤防法面:ていぼうのりめん。河川などの堤防に人工的な手を加えて作った斜面のこと。
注2 ペロブスカイト太陽電池:ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を用いた次世代型太陽電池。軽量かつ柔軟な特徴をもち、従来の重いシリコン太陽電池では困難だった場所にも設置できる。
注3 水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業:上下水道施設の水路上部など、従来型の太陽光発電設備の設置が難しかった場所での技術検証を行う環境省の事業。
注4 矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト:愛知県が推進する流域一体型の脱炭素プロジェクト(矢作川=やはぎがわ、豊川=とよがわ)。
参考サイト
パシフィックコンサルタンツ株式会社 ニュース 2026年7月21日、「菱池遊水地(愛知県額田郡)でのペロブスカイト等を使用した太陽光実証実験を完了しました」
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