2015年10月15日、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下:産総研、理事長:中鉢良治)の情報技術研究部門(研究部門長:田中良夫)は、欧州のサイバーセキュリティ機関European Network for Cyber Security(以下:ENCS※、最高技術責任者:Klaus Kursawe)とIoTシステムのサイバーセキュリティ対策の開発と普及を目指し、2015年8月12日にスマートメーターとスマートグリッドを含むIoTシステムのサイバーセキュリティについての情報交換や研究交流に関するLetter of Intent(以下:LOI、確認書)を締結したことを発表した。
ENCSは、欧州全域を対象とした電力・エネルギー供給に関するサイバーセキュリティ向上に取り組む非営利機関であり、現在は特にスマートグリッドやスマートメーターに関連した問題に取り組んでいる。産総研は、日本国内のスマートメーターのサイバーセキュリティ対策を強化するべく電力事業者と連携してセキュリティガイドラインの策定を進めている。
同研究所は、今回締結された同確認書により、先行する欧州のスマートグリッドのサイバーセキュリティ関連情報をENCSから得るとともに、研究交流を実施することで、セキュリティガイドラインの内容の充実を目指している。
産総研からはガイドライン策定を通じて得た知見をENCSにフィードバックすることで、ENCSの活動をサポートする。さらにENCSと産総研の協力を推し進めることで、サイバーセキュリティ向上の取り組みをIoT技術全体に適用し、社会の安全・安心を支える成果を生み出すことを目指す。
※ENCS (The European Network for Cyber Security):欧州において安全で重要なエネルギーグリッドやインフラを展開するため、重要インフラの関連企業・機関とセキュリティーの専門家を集めた非営利機関。オランダの協同組合法に基づき2012年に設立され、専任の研究員や試験の専門家が加盟団体やパートナーと協力して応用研究、技術的なセキュリティー要件の定義、部品や端末間の試験、人材育成などに取り組んでいる。