イギリスJaguar Land Rover社は2017年9月7日、2020年以降に同社が発売する新車種がすべてモーターを搭載したものになると発表した。同社がイギリス国内で開催したイベント「Tech Fest 2017」での発表となった。イギリス政府は2017年7月に、ガソリン車とディーゼル車の販売を2040年以降は禁止すると発表している。今回のJaguar Land Rover社の発表はイギリス政府の決定に対応するものと考えられる。
Jaguar Land Rover社のCEOであるRalf Speth博士は、2020年以降に発売する車種をすべて「電化」することを明らかにした上で、顧客に選択肢を提供するために、電気自動車(EV)だけでなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)やマイルドハイブリッド車も提供するとした。イギリス政府の決定通り、内燃機関(エンジン)のみを動力とする車種は、この時点で姿を消すことになる。
そして、2020年に向けた最初の動きが2018年に発売するSUV「Jaguar I-PACE」だ。同社初のEVとして2016年11月にコンセプトモデルを発表し、2017年3月には公道での走行試験を実施している。
図 Jaguar Land Rover社が開発中のEV「Jaguar I-PACE」。2017年3月に公道での走行試験を実施しているところ
出所 Jaguar Land Rover社
Jaguar I-PACEは、蓄電容量が90kWhのリチウムイオン蓄電池を内蔵し、満充電状態からの走行距離は、ヨーロッパ標準であるNEDC(New European Driving Cycle)で500kmとなる。50kW直流の急速充電機能を利用すると、90分で蓄電容量の80%まで充電できる。
車体の前後にモーターを搭載し、4輪駆動としており、最大出力は400馬力で、最大トルクは700Nmに達する。停車状態から時速60マイル(約97km)まで、4秒程度で加速するという。
また、Jaguar Land Rover社は2040年以降の自動車のあり方を考えて設計したコンセプトモデル「Jaguar FUTURE-TYPE」も発表した。完全な自動運転機能を備えたEVだ。
図 2040年以降を想定したコンセプトカー「Jaguar FUTURE-TYPE」
出所 Jaguar Land Rover社
Jaguar FUTURE-TYPEは、個人が所有することを想定したものではなく、必要な時に自由に利用できる、カーシェアリングの形態で提供することを想定したものだ。そして、ほかの車両と通信することで、車線変更などの操作を安全にかつ効率良く処理することが可能になるという。基本的には自動運転だが、利用者が運転を楽しみたいと希望したときは、人間が運転することも可能にするとしている。