屋久島の電力を船で周辺離島へ運搬
電気運搬船事業を手掛ける株式会社海上パワーグリッド(以下、海上パワーグリッド)と屋久島電工株式会社(以下、屋久島電工)は、屋久島の水力発電による電力を船で周辺離島へ運搬する海上電力輸送ソリューションの開発に向け、検証を実施することで合意した(図1)。2028年頃の運行開始を計画している。海上パワーグリッドの親会社である株式会社パワーエックス(以下、パワーエックス)が2025年7月30日に発表した。
図1 株式会社海上パワーグリッドの電気運搬船「X」のイメージ
出所 株式会社パワーエックス プレスリリース 2025年7月30日、「パ電気運搬船による屋久島の再生可能エネルギーを島外輸送する事業の検証を開始」
屋久島周辺離島の化石燃料依存の脱却を推進
海上パワーグリッドと屋久島電工の電気運搬事業では、海上パワーグリッドの電気運搬船を使用し、屋久島電工が保有・運営する屋久島内にある水力発電所で発電した電力を種子島などの周辺離島に運搬する(図2)。
図2 海上パワーグリッドと屋久島電工の電気運搬事業では、屋久島から周辺離島に電気を運搬する
出所 株式会社パワーエックス プレスリリース 2025年7月30日、「パ電気運搬船による屋久島の再生可能エネルギーを島外輸送する事業の検証を開始」
現在、種子島などの周辺離島の多くには、ディーゼルエンジンなどを用いた内燃力発電によって電力が供給されている。屋久島のクリーンな電力をこれらの離島へ運ぶことで、化石燃料への依存からの脱却を進めるという。
運搬に使用する電気運搬船は、船に搭載した蓄電池に蓄電し、電気を海上輸送するというもの。現在、海上パワーグリッドは、その初号機となる「X」を開発中であり、パワーエックスが2023年に発表したリリースによれば、電気運搬船を2025年に竣工し、2026 年から国内外で実証実験を開始する予定である。
海上パワーグリッドによれば、屋久島は、年間降水量が日本で最も多く、かつ2,000メートル級の山々があり、水量・落差ともに豊富な水力資源に恵まれている。島内の消費電力のほぼ全てを水力発電で賄っており、クリーンなエネルギーの供給ポテンシャルが高い。
参考サイト
株式会社パワーエックス プレスリリース 2025年7月30日、「パ電気運搬船による屋久島の再生可能エネルギーを島外輸送する事業の検証を開始」
株式会社パワーエックス プレスリリース 2023年5月25日、「パワーエックス、子会社の海上パワーグリッドが屋久島電工と連携し、電気運搬船による離島間での電力輸送事業の検証を開始」