蓄電池製造拠点を共同開発し製造期間・コストを削減へ、日立ら9社
Swiftfabプロジェクトを開始し26年に新会社16:54
蓄電池の製造拠点を共同で開発・展開するプロジェクト
一般社団法人電池サプライチェーン協議会(以下、BASC)に加盟する株式会社日立製作所(以下、日立)、株式会社西部技研、コマツNTC株式会社、株式会社東伸、株式会社豊電子工業、平田機工株式会社、リコーエレメックス 株式会社、株式会社ジェイテクト、株式会社大気社の9社は、蓄電池の製造拠点を共同で開発し、展開するプロジェクト「Swiftfab」を開始した。9社が共同し、建屋・設備・生産装置・システムを一体的に設計・開発することで、蓄電池製造の期間短縮、コスト削減に繋げるのが狙い。同プロジェクトを推進するため、共同事業体「Swiftfab Energy Systems株式会社」(仮称)を2026年4月に設立する予定。日立製作所が2025年12月18日に発表した。
BASCの加盟企業にも順次提供
Swiftfabは、蓄電池を製造するための建屋や設備、生産装置、システムを一体で設計・開発し、蓄電池製造ラインとして統合したソリューションを共同で構築・展開するプロジェクト。
製造工程については、同工程のデジタルツインを構築するためのシミュレーション技術を開発する計画だ。デジタルツインでは、設備やラインのデータを収集・蓄積し、デジタル空間で事前に検証する。これにより、設計段階におけるリードタイムの短縮や、複数の要素やシステムを一体化した統合シミュレーション、性能予測シミュレーションで因果関係の解析と高精度な予測を可能にし、生産立ち上げ後の調整期間の短縮につなげるとする。
BASCは、技術標準や国際展開の調整などを通じ、Swiftfabを支援する。
Swiftfabの成果は、BASCの加盟企業にも順次提供し、「共創型産業インフラ」として拡張する予定だという。
日立によると、蓄電池製造は、工程が精密かつ複雑で高い品質管理が求められる。このため、装置ごとにサプライヤーや仕様が異なる場合、生産ラインの各装置や建屋間の連係時のすり合わせに多大なコスト・時間を要する。また、案件ごとに材料や生産量などの諸条件が異なることにより、装置や生産ラインの設計のリードタイムや、生産ラインの立ち上げ後にOEE(総合設備効率)が安定するまでの調整期間が長期化する傾向にある。加えて、特殊環境構築のための工場の大型化やエネルギー消費の増大など、国内の蓄電池製造の拡大に向けては種々の課題が存在する。