中小向けに小型CO2回収装置を開発へ、ヤマハ発動機ら5社協業

2027年7月末以降にヤマハ発動機グループへ実装

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2025年12月26日 (金曜) 10:31

中小企業向けのCO2回収装置を開発へ

 ヤマハ発動機株式会社(以下、ヤマハ発動機)とグループ会社であるサクラ工業株式会社(以下、サクラ工業)は、株式会社JCCL(以下、JCCL)、東洋製罐グループホールディングス株式会社(以下、東洋製罐グループ)、三井物産プラスチック株式会社(以下、三井物産プラスチック)の3社と、工場の燃焼排ガスなどから二酸化炭素(CO₂)を回収する装置の共同開発に向け、契約を締結した。中小企業向けにコンパクトなCO2回収装置を開発するという。2025年12月25日に発表した。

図1 5社が開発するCO₂回収装置の回収工程フロー のイメージ

2027年7月末以降にヤマハ発動機グループへ実装

 JCCLは、CO2分離回収技術の社会実装に向け、2025年3月に、東洋製罐グループホールディングス、三井物産プラスチックと協業を開始した。今回、この協業にヤマハ発動機、サクラ工業が参加する。

 5社が開発するCO₂回収装置は、JCCLが保有するアミン含有ゲル技術注1により、工場の燃焼排ガスなど比較的高濃度の気体からCO₂を回収する。その前処理の工程で、窒素酸化物(NOx)および硫黄酸化物(SOx)を除去する。また、排熱を利用し、省エネルギーで運転する。プラントをコンパクトなサイズにし、他のソリューションと組み合わせ、中小企業にも導入しやすいモデルを構築するという。

 静岡県周智郡森町にあるヤマハ発動機の水素関連実証実験施設「ZERO BLUE LAB 未森」を拠点に開発し、2027年7月末に大型装置を完成し、フィージビリティスタディ(FS)を完了する予定。検証結果をもとに、ヤマハ発動機グループの各拠点へ段階的に実装する。ヤマハ発動機は、グループの2035年にスコープ1でカーボンニュートラルを達成するという目標を設定しており、今回の事業はその取り組みの一環である。


注1:アミン含有ゲル技術:「アミン含有ゲルCO₂吸収剤」を活用し、CO₂を分離する技術。燃焼後の排ガスや空気を乾燥させることなく、直接CO₂を回収できる。また、従来のアミン水溶液を使った従来技術と比べ、CO₂との結合が弱いため、脱着時の高温加熱が不要である。

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