高密度・微細な泡で建機の燃費を24%向上、熊谷組

超高密度ナノバブルの実証で確認

インプレスSmartGridニューズレター編集部

10:00

高密度のナノバブルを建設機械の燃料に混入する実証

 株式会社熊谷組(以下、熊谷組)は、特殊な装置で高密度に生成した微細な泡(ナノバブル)を建設機械の燃料に混入する実証を実施した(写真1)。同実証では、ナノバブルにより、燃料消費を最大で24.1%削減したという。2025年11月19日に発表した。

写真1 超高密度ナノバブル発生装置

燃料の粘性を低減し燃焼効率向上

 ナノバブルは、特殊な装置で生成された直径50㎛(マイクロメートル)以下の泡が、自己収縮して50~300㎚(ナノメートル)サイズになったもの(図1)。一部の分野で燃焼効率改善や燃料消費量の低減効果が確認されていたが、装置の複雑さやコストが普及の障壁になっていた。

図1 ナノバブルの概要図

 熊谷組の実証では、安価かつ簡素な超高密度ナノバブル発生装置に着目した。従来の装置では1mLあたり1億個が限界だったが、同装置は1mLあたり10億個以上という密度を可能にする。超高密度ナノバブルを燃料に溶け込ませることで、燃料の粘性を低減させて燃焼効率が向上し、燃料消費量の改善とCO2排出量の削減につながるという。

 具体的には、熊本県が発注する大切畑ダムの堤体復旧工事現場で、油圧ショベルの一種であるバックホウ(1.4m³、0.8m³の2機種)と、45kVA発動発電機の3機種に超高密度ナノバブル発生装置を設置し、燃料消費量の比較試験を実施し、燃料消費量の低減効果を検証した(写真2)。

写真2 実証で使用したバックホウ

 その結果、全ての試験機械で、超高密度ナノバブル発生装置を使用した場合に燃料消費量の低減効果を確認し、最も効果の大きかった1.4m³バックホウで24.1%削減、0.8m³バックホウで13.1%削減、45kVA発動発電機で15.4%削減したという(図2)。

図2 通常時と超高密度ナノバブル使用時の燃料消費量比較

 株式会社安斉管鉄、東京システムズ株式会社、丸紅エネルギー株式会社が協力した。

 今後、超高密度ナノバブル技術を他工事にも展開する予定。また、建設以外の分野でも活用が期待できるとする。

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