建設中の自社実験棟にCO2ゼロ鉄筋を導入
株式会社大林組(以下、大林組)は、カーボンオフセットによって製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を100%削減した鉄筋を、建設中の自社実験棟に国内で初めて採用した(図1)。建物の主要部材である鉄筋の脱炭素化を進めることで、建設段階における環境負荷低減を推進する狙いだ。2025年9月2日に発表した。
図1 大林組がカーボンオフセットによって製造時のCO2排出量を100%削減した鉄筋を導入する建設中の実験棟「オープンラボ3(OL3)」第2期部分の外観
出所 株式会社大林組 プレスリリース 2025年9月2日、「カーボンオフセットで脱炭素化した鉄筋を国内で初めて建物に採用」
東京鉄鋼の独自技術でCO2をオフセット
今回の取り組みでは、CO2排出量を100%削減した鉄筋を、大林組技術研究所(東京都清瀬市)内で建設を進めている実験棟「オープンラボ3(OL3)」の第2期部分における基礎・地中梁主筋部に使用する。
鉄筋には、東京鉄鋼株式会社(以下、東京鉄鋼)の「タンカロン」を採用した。この鉄筋は、同社独自の「廃棄物処分技術」で創出されたCO2削減量を割り当てることで、製造時の排出量を実質ゼロにしている。
同技術は、自動車や家電のリサイクル過程で生じるプラスチックやゴムなどの破砕残渣を、専用の炭化炉で無酸素加熱処理し、粉体カーボンを生成する。これにより、完全焼却する場合と比べ、CO2の排出量を大幅に抑制するという。粉体カーボンは、鉄筋を製造する際のコークス(石炭)の代替燃料として活用する。
今後、今回の取り組みを足掛かりに、環境に配慮した資材の採用を進める方針だ。
大林組によれば、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、建設業界ではサプライチェーン全体でのCO2排出量削減が急務となっている。特に、建物の構造を支える鉄筋は製造時に多くのエネルギーを消費し、CO2を排出するため、その削減が大きな課題であった。