日本初のブルー水素・アンモニアの製造設備を開所、INPEX

ブルー水素・アンモニア製造と枯渇ガス田へのCO2圧入を実証

インプレスSmartGridニューズレター編集部

8:00

ブルー水素・アンモニアの実証用製造設備を竣工

 株式会社INPEX(以下、INPEX)は、製造時に発生する二酸化炭素(CO₂)を分離・回収した水素「ブルー水素」とアンモニア「ブルーアンモニア」を製造するための実証用設備を新潟県柏崎市に竣工した(写真1)。日本初の設備だという。同設備を含めた施設を「柏崎水素パーク」と総称し、2025年11月21日に開所した。同日に発表した。

写真1 INPEXが建設した実証用設備の外観

ブルー水素・アンモニア製造と枯渇ガス田へのCO2圧入を実証

 今回建設した設備を利用した実証では、INPEXが保有する南長岡ガス田(新潟県長岡市)から東柏崎ガス田(新潟県柏崎市)に、既設のパイプラインを通じて天然ガスを輸送し、水素とアンモニアを製造する(図1)。

図1 実証では、ブルー水素・アンモニアの製造から枯渇ガス田へのCO2圧入利用までを検証する

 水素の製造に伴って発生するCO2を分離・回収し、既にガス生産を終了した東柏崎ガス田平井地区の貯留層に圧入(CCUS注1)する。これにより、大気への排出量を削減するという。

 製造した水素は水素発電設備を通し、新潟県内に電力として供給するほか、低温低圧の合成プロセスを利用して水素の一部からアンモニアを製造し、県内の需要家に供給する。

 ブルー水素とブルーアンモニアの製造技術を検証するとともに、CO2圧入操業の知見獲得、国内枯渇油ガス田を対象にしたCO₂貯留可能量の評価・検証を進める。

 ブルー水素・ブルーアンモニアの製造から、利用までを一貫して実施するプロジェクトは日本初だという。

 実証実験のうち、水素・アンモニアの製造とCO₂回収については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から、「燃料アンモニア利用・生産技術開発/ブルーアンモニア製造に係る技術開発」として採択された補助事業のもとで実施する。

 CO₂の地中貯留の実施と評価については、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 (以下、JOGMEC)との共同研究「天然ガス利用等における低炭素化を目的とした国内枯渇油ガス田を活用したCO₂貯留可能量把握に関する実証試験」として実施する。

 補助事業の期間は2022 年度~2025年度末の予定で、補助事業・共同研究が終了した場合は自社事業として実証を継続する。

 INPEXは、2035年を目処にCCS/水素を中核としたソリューションの提供を計画しており、今回の実証は、そのための活動の1つと位置付けている。


注1:CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage:二酸化炭素回収・有効利用・貯留):二酸化炭素を回収、貯留そして利用する技術。

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