複数店舗を仮想発電所化し電力融通、ベイシア

電気料金削減と再エネ比率40%を実現

インプレスSmartGridニューズレター編集部

11:13

店舗間で余剰電力を融通する仕組みを構築

 株式会社ベイシア(以下、ベイシア)は、複数の店舗間で余剰電力を融通する仕組みを2025年11月18日に構築した(図1)。2026年4月に稼働を開始する。電力融通のため、アイ・グリッド・ソリューションズ(以下、アイ・グリッド)が提供する電力循環の仕組みを活用し、複数店舗を仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)注1として機能させ、電気料金の削減や再生可能エネルギー(以下、再エネ)比率の向上につなげるという。2025年11月20日に発表した。

図1 複数店舗間での電力融通の仕組みを導入した商業施設「パワーモール前橋みなみ」

余剰電力の活用で再エネ比率を40%に

 ベイシアは、アイ・グリッドと連携した太陽光発電設備を46店舗に導入し、そのうち5施設に蓄電池を併設している(2025年11月時点)。その中の21店舗で余剰電力が発生している。

 今回、構築した仕組みは、21店舗の余剰電力をアイ・グリッドの電力シェアリングサービス「循環型電力」を活用し、電力系統を通じてベイシア前橋みなみモール店に融通する(図2)。余剰電力は蓄電池に貯蔵し、朝や夕方など太陽光による発電量が少ない時間帯に放電するタイムシフト運用も実施する。

図2 ベイシアが構築した仮想発電所の全体イメージ

 同店は、余剰電力の活用でVPPを構築することにより、年間の総電力消費量に対する再エネ比率が40%になる見込み。また、日中時間帯(9時~15時)の電力を実質再エネ100%注2にするという。

 同店には、今回の取り組みを開始するにあたり、産業用蓄電池(193.5kWh)を2台、太陽光設備(598.7kW)を2025年11月18日に導入した。

 ベイシア担当者は、「複数店舗をアイ・グリッドが一体的に管理し、VPPとして機能させる新しい仕組みを構築することにより、グループ全体で再生可能エネルギーの活用を最大化し、GX(グリーントランスフォーメーション)を実現する基盤づくりを目指す」と述べる。


注1:仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant):分散するエネルギーリソースを統合・制御し、一つの大規模発電所のように機能させる仕組み。
注2:実質再エネ100%:循環型電力と非化石証書を組み合わせた電力プラン。

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